最近の世論調査で「保守結集」の動きが観測されるなか、野党側の対応策に関心が集まっている。
特に、最大野党「共に民主党」と野党「祖国革新党」が政権奪還という共通の目標のもと、連携シナリオを模索する可能性が浮上している。
しかし、中道層の支持を得ようとする「共に民主党」と、党の存続を模索する「祖国革新党」の間で、候補者一本化や合党をめぐるジレンマが深まっている。両党の連携が李在明(イ・ジェミョン)代表の得票率向上に必ずしも寄与しない可能性が指摘されている。
保守層へのアピールを狙う李代表と、「進歩陣営の砕氷船」を自任する「祖国革新党」の機械的な結合が、両党の期待通りに進むかどうかは不透明だ。
「12・3非常戒厳」が解除された直後、政治界では「保守の壊滅危機」が語られていた。国会前広場を埋め尽くした怒れる民心と、内乱罪被疑者としての転落が決まった尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領。この状況下で、与党・尹政権の支持率は急落するとの見方が大勢を占めていた。
しかし実際の政治情勢は、予想とは異なる方向に展開している。尹大統領を切り捨てると見られていた与党指導部は親・尹派へと再編され、保守層は分裂するどころか結集し始めた。
その結果、最近発表された世論調査では、尹大統領の弾劾反対意見が増加し、ついには与党の支持率が野党を上回る結果となった。「共に民主党」の政権奪還シナリオが揺らぎ始めた。
世論調査会社EMBRAINパブリック、Kstatリサーチ、コリアリサーチ、韓国リサーチが2月3日~5日(2月第1週)にかけて、18歳以上の男女1005人を対象に実施した全国指標調査(NBS)の結果によると、与党「国民の力」の政党支持率は39%、「共に民主党」は37%と集計された。続いて「祖国革新党」4%、「改革新党」2%の順だった。
支持する政党がない、またはわからないと答えた態度留保層は15%だった。
この状況を受け、李代表は熾烈な駆け引きに突入した。前回の大統領選で0.73%の僅差で敗北した彼は、中道層を狙った外延拡大に力を注ぐ姿勢を見せている。
イデオロギーよりも実用性を強調する「黒猫白猫論(黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのが優れている)」を掲げた。これは、政党や政争ではなく、実利や現実的な課題に基づいて投票する無党派・中道層をターゲットにした戦略と解釈される。
李代表は2月10日、国会本会議の交渉団体代表演説でも「経済」と「成長」の重要性を強調した。
この日、李代表は「生計問題を解決する『モクサニズム』を含め、皆が共に豊かに生きる『チャルサニズム』を新たなビジョンとする」と述べた。さらに「成長の機会と成果を分かち合うべきであり、このような『公正成長』こそが、より良い社会への扉を開く」と明らかにした。
「共に民主党」内では、「祖国革新党」との合党や候補者一本化の必要性も取り沙汰されている。これは、チョ・グク前代表の収監後、「祖国革新党」の支持率はやや停滞しているものの、「改革新党」よりは多くの支持を得ているためだ。
前回の大統領選で、「正義党」のシム・サンジョン候補との一本化に失敗し、僅差で政権を失った「共に民主党」にとって、次期大統領選での野党連携は達成しなければならない課題と見なされている。
親・李在明系である首都圏の「共に民主党」の議員は、「共に民主党と祖国革新党は、大きな本流の川から一時的に分かれて流れる二つの支流のようなものだ」と述べた。
さらに「最終的には大海で再び合流することになるだろう。『政権奪還』『内乱鎮圧』という大義の前では、両党のわずかな違いなど塵よりも小さい」と語った。
ただし、一部では本格的な早期大統領選の局面に突入すれば、両党の合党や候補者一本化が容易ではないとの見方も出ている。
まず、李代表の「右旋回」路線が、進歩の価値を掲げる「祖国革新党」の理念と大きく対立する側面が少なくないためだ。実際、李代表が決定した金融投資所得税の廃止や仮想資産課税の猶予に対し、「祖国革新党」は強く批判した経緯がある。
そのため、大統領選の局面で李代表の「右旋回政策」が続く場合、これを「祖国革新党」や同党の大統領選候補が全面的に受け入れるのは難しいとの見方が少なくない。
何よりも、両党の大統領選候補の一本化が、野党全体の票の割れを拡大することに大きな影響を与えないとの分析も出ている。
野党内の“支持基盤の結束”効果は得られるが、支持を決めかねている中道層にとっては、「祖国革新党」の“強い色”が反感を招く可能性があるとの見方だ。
特に、“政治セレブ”ともいわれるチョ・グク前代表が収監された状況では、両党候補の一本化発表などが「コンベンション効果」(政治イベント後に支持率が上昇する現象)を引き起こすのも難しいとの見通しも提起されている。
仁川(インチョン)大学政治外交学科のイ・ジュンハン教授は、「チョ・グク前代表と李在明代表のシナジーと、共に民主党と祖国革新党のシナジーは異なる」と述べ、「チョン・グク不在の祖国革新党が大統領選候補を擁立し、その後に李代表との候補一本化や合党を発表したとして、大衆の大きな関心を引くことができるだろうか」と反問した。
続けて、「もちろん、両党候補が一本化すれば、李代表の『右旋回』によって離脱する進歩層の支持者の流出は防ぐことができるだろう。しかし、中道層の票を獲得することにはマイナス要素となり得る」と指摘した。
さらに「特に、祖国革新党が大統領選候補を擁立できなければ、党の解散へと向かう可能性もある」と述べ、「大統領選の局面で、両党の合党や候補一本化の損益計算は決して容易ではない状況だ」と分析した。
なお、本記事で引用されたNBS調査は、韓国内の通信3社が提供する携帯電話の仮想番号(100%)を利用した電話面接調査方式で実施された。回答率は20.0%であり、標本誤差は95%の信頼水準で±3.1%ポイント。詳しい内容は韓国中央選挙世論調査審議委員会のホームページで参照可能だ。
(記事提供=時事ジャーナル)
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