「暴動こそが愛国だ」“見習うべき民主主義”が崩壊か…韓国で尹大統領の弾劾反対派が過激化、警察も非常態勢へ

2025年03月06日 政治 #時事ジャーナル
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「違法な弾劾裁判を主導したムン・ヒョンベ、イ・ミソン、チョン・ゲソンを処断しよう」(キム・ヨンヒョン前国防部長官)

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「公捜処、選管委、憲法裁判所をすべて破壊すべきだ」(「国民の力」ソ・チョンホ議員)

「憲法裁判所が弾劾訴追を認めるならば暴動が起こるだろう」(ファン・ギョアン元国務総理)

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾審判の宣告を前に、「第2の西部地裁事態」を懸念する声が広がっている。大統領の罷免を想定し、一部の「親尹派」の政治家が公然と暴動を扇動・警告する動きを見せているためだ。

実際、一部の過激な支持層は、憲法裁判所のホームページに暴動を予告する投稿を数百件掲載した。「内乱論争」に続き、「内戦の懸念」まで広がると、警察も宣告日に合わせて最高レベルの非常勤務態勢を検討していることが確認された。

「裁判官脅迫」に続き、「暴動警告」

尹錫悦大統領
(写真=憲法裁判所)2月25日、弾劾審判第11回弁論で最終陳述をする尹錫悦大統領

ファン・ギョアン元国務総理が率いる「不正選挙腐敗防止隊(不防隊)」は3月5日14時、憲法裁判所前で記者会見を開き、弾劾棄却を求める嘆願書を提出した。

不防隊は嘆願書を1万通ずつ106箱に分け、憲法裁判所の民願室に提出した。箱を持って憲法裁判所に向かう人々に対し、周囲にいた尹大統領の支持者たちは「弾劾無効」「尹錫悦無罪」などを叫び、歓声を上げた。

ファン元国務総理は105万4239人(累計約170万人)が嘆願書に署名したと主張。その上で、「尹大統領を弾劾すれば全国的な『暴動』が発生し、急速に拡大するだろう」と警告した。

ファン元国務総理は「(弾劾棄却に対する)国民の熱望にもかかわらず、もし憲法裁判所が正当性と手続きの合法性をすべて失ったこの弾劾訴追を認めるならば、その影響は計り知れない」とし、「制御不能の暴動が発生するだろう。誰も統制できない事態となる」と主張した。そして「大韓民国の安定を回復し、国民の分裂を防ぐ唯一の方法は、尹錫悦大統領の弾劾を棄却することしかない」と述べた。

与党「国民の力」内で尹大統領の弾劾を前提に、「騒乱」や「暴動」などを警告するのは今回が初めてではない。

「12・3非常戒厳」事態の中心人物として指摘され、拘束起訴されたキム・ヨンヒョン前国防部長官は最近、「獄中書簡」を通じて「違法な弾劾審判は必ず却下されなければならない」とし、「違法な弾劾裁判を主導したムン・ヒョンベ、イ・ミソン、チョン・ゲソンを即刻処断しよう」と主張した。

この書簡は3月1日にソウル光化門で開かれた尹大統領弾劾反対集会で代読された。

尹大統領の弾劾に反対する保守派の市民たち
(写真=時事ジャーナル)尹大統領の弾劾に反対する保守派の市民たち

また、「国民の力」ソ・チョンホ議員は同じ集会で、「公捜処、選管委、憲法裁判所は違法と混乱を引き起こしている。すべて叩き壊すべきだ。破壊しよう」と発言し、物議を醸した。

市民団体「司法正義パロセウギ市民行動」は3月4日、キム前長官とソ議員を内乱扇動の容疑で警察に告発した。

保守派の支持者が集まるオンラインコミュニティなどでも、「暴動」を予告する投稿が広がっている。

1月14日に尹大統領の弾劾審判が開始されて以降、現在までに憲法裁判所の自由掲示板に「暴動」という単語を含む投稿が578件(3月5日18時30分現在)掲載された。

一部の投稿者が複数の投稿を繰り返したり、暴動への懸念を表明したりする内容も含まれていたが、大半の投稿は「暴動が愛国だ」「憲法裁判所は国民の暴動蜂起を待っているのか」「憲法裁判所は粉々になるだろう」といった露骨な脅迫や警告のメッセージだった。

憲法裁判所HPの自由掲示板に掲載された「暴動」関連の投稿
(画像=憲法裁判所HP)憲法裁判所HPの自由掲示板に掲載された「暴動」関連の投稿

「弾劾宣告」当日に警察力の総動員を予告

警察も、尹大統領に対する憲法裁判所の弾劾審判宣告日に騒乱が発生することを懸念している。

イ・ホヨン警察庁長職務代行は3月4日の定例ブリーフィングで、「警察力の(不足)限界のなかで、最悪の状況を想定して計画を立てている」と述べ、警察力を総動員して物理的衝突を防ぐ方針を明らかにした。

イ代行は、憲法裁判所の弾劾審判宣告日にソウル西部地裁暴動と類似した事態が発生する可能性を想定し、警察力を柔軟に運用する計画だとした。また、暴力的な状況が発生しないよう、現場指揮官の判断に応じて三段棒(3段に伸縮する金属製の警棒)やカプサイシンを使用する可能性も示唆した。

また、「(警察力を)総動員して過去のような事態が発生しないようにする。賛否両派の物理的衝突も総動員して遮断する」と強調し、「焼身や憲法裁判所への侵入、物理的衝突、暴力事件が発生する可能性があるため、あらゆる事態を想定している」と述べた。

ソウル警察庁は、弾劾審判宣告日に利用可能な警察力を100%まで動員できる最高レベルの非常事態「甲号非常」の発令を検討している。

警察の非常業務規則によると、非常勤務の発令権者は、緊急性や重要度に応じて▲甲号非常 ▲乙号非常▲丙号非常▲警戒強化▲作戦準備態勢などを発令できる。甲号非常が発令されると、休暇の使用が禁止され、利用可能な警察力の100%が非常勤務に投入される。また、指揮官や参謀は原則として事務室または関連する現場に配置され、定着勤務を行うことになる。

イ代行は、憲法裁判所や主要公共施設、政府関係者に対する保護措置について「憲法裁判所には24時間、機動隊を配置している。(保護対象者の)自宅には具体的な人数はいえないが、配置人員を増員した。弾劾審判の前後で不測の事態が発生しないよう万全を期す」と強調した。

(記事提供=時事ジャーナル)

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