不良車両による被害が多かった韓国の中古車市場、自動車メーカーが参入すれば不信は解消されるか

2025年03月19日 経済 #時事ジャーナル
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韓国の自動車メーカー「Kia」が今年、本格的に認定中古車事業の拡大に乗り出す。

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5月から中古車市場における大企業のシェア制限が解除され、事業の門戸が大きく開かれることが背景にある。不況による新車販売の減少に対応する目的もある。

これまで中古車市場では不良車両による被害が多かったため、大企業の参入を歓迎する声も多い。

3月19日、自動車業界によると、Kiaは最近の定期株主総会で事業目的に「不動産開発業」を追加した。Kiaはこれについて「試乗や購入、整備、サービス、ブランド体験のための新規事業所開発や建物賃貸運営を目的としたもの」と説明した。

業界では、Kiaが認定中古車センターの設立や独自の商品開発を進めることで事業拡大に本格着手したと見ている。

Kiaが中古車事業の拡大に積極的に乗り出す理由は、5月から大企業の中古車市場シェア制限が撤廃されるためだ。Kiaは2023年11月に認定中古車事業を開始したが、中小中古車業界の反発により、2024年4月まで市場シェアを2.9%以上確保することができなかった。

この規制が5月から解除されることで、自由な競争が可能となる。大林(テリム)大学未来自動車工学部のキム・ピルス教授は「これまで規制によって制限されていた中古車市場の事業化が、5月以降は本格的な営業展開へと移行するだろう」と指摘する。

中古車
(写真=時事ジャーナル)

世界的な景気低迷により、新車市場が低迷していることも、中古車市場参入を後押しする要因となっている。

産業通商資源部によると、2024年の韓国内自動車販売台数は163万台で、前年に比べ6.5%減少した。今年1月から2月にかけても、国産車の販売台数は前年同期比1.1%減少している。

Kiaも販売台数の減少を免れなかった。Kiaは2024年に創業以来、初めて売上高100兆ウォン(約10兆2813億円)を突破したものの、国内販売台数は前年比4.2%減の54万10台にとどまった。

韓国の中古車市場、成長余地が大きい

一方、韓国の中古車市場は成長の可能性が高く、不況時の耐久性も強い。

CARISYOUデータ研究所によると、2024年の中古車登録台数は前年比0.5%減(253万9874台)だった。しかし、新車登録台数が6.5%減少したことと比較すると、中古車市場は堅調な推移を示したといえる。

キム教授は「韓国の中古車市場は、アメリカやドイツなどの自動車製造国と比較しても、まだ成長の余地が大きい」とし、「大企業が参入することで市場の透明性が向上すれば、中古車市場が活性化し、リサイクル効果によって新車販売も増加する可能性がある」と指摘する。

Kiaは、自動車の生産から販売までのバリューチェーンをすでに確立しており、中古車市場でも競争力があると判断している。

特に、Kiaが総合モビリティ企業を目指しているだけに、中古車販売量のデータを通じて新車の需要や販売量を予測するシステムを構築すると期待されている。グループ企業である現代キャピタル(自動車・金融)や現代グロービス(中古車プラットフォーム)ともシナジーを生み出す狙いがある。

カギは、Kiaが中古車市場でどのような戦略を展開するかだ。

業界では、Kiaが年式5年以内・走行距離10万km未満の無事故車両を中心に仕入れていることから、高価格帯のプレミアム中古車市場に参入すると予想している。現在、中古車市場はオンライン取引プラットフォームとオフラインのディーラー業者の二極化が進んでいる。

大徳(テドク)大学自動車学科のイ・ホグン教授は「オンラインプラットフォームが低価格帯の車両に注力しているのに対し、Kiaは高価格帯の中古車を扱いながら新車販売を促す戦略をとる可能性が高い」と述べた。

また、「現代自動車などの系列企業と連携することで、既存の中古車販売業者にはない強力な競争力を持って市場に参入すると考えられる」と分析した。

近年、完成車メーカーをはじめとする自動車業界全体が競って中古車市場に進出している。

現代自動車、コーロンモビリティ、KGモビリティは2024年に中古車事業を開始し、レンタカー事業を展開してきたロッテレンタルも今年第1四半期中に中古車事業を展開する計画だ。

さらに中国のBYDも韓国市場に進出し、最近「BYDコリアオート」という法人を設立し、中古車販売への参入を予告している。

(記事提供=時事ジャーナル)

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