尹前大統領と同じ党でありながら“弾劾に賛成”した「国民の力」前代表、ハン・ドンフン候補「時代の交代を」【大統領選】

2025年04月18日 政治 #時事ジャーナル
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「ソ・テジのように時代を変えます!時代交代は、一瞬の爆発のように起きるのです!」

ソウル・汝矣島の国会議事堂前に立った与党「国民の力」の大統領選候補ハン・ドンフンは4月10日、こう叫んだ。

1990年代の革新的な音楽とダンス、ファッションで一世を風靡し、「文化大統領」とまで呼ばれた歌手「ソテジワアイドゥル」のように、韓国に旋風を巻き起こすという約束だ。

『時事ジャーナル』は、政治刷新、世代交代、時代交代を通じて生まれ変わった韓国を夢見るハン・ドンフン候補に4月17日、インタビューを行った。

ハン・ドンフン候補は「時代の交代を通じて、極端な対立政治を終わらせ、国民が最優先の国、成長する中産階級の時代を開く」と語った。

弾劾の連続と戒厳のど真ん中で、極端な対立による国民の不安を痛感したという彼は、1987年体制に終止符を打つための方法として「任期短縮・4年大統領中任制」の憲法改正を提案している。

最近、大統領選の最大の変数として浮上しているハン・ドクス大統領権限代行の出馬論については、「常識からかけ離れた選択はなさらない方だ」と線を引いた。保守陣営の候補との一本化の可能性については、「オ・セフン市長の政策と自分の公約は一致している」と強調した。

ハン・ドンフン候補
(写真=時事ジャーナル)ハン・ドンフン候補

―大統領選へ出馬する覚悟は?

時代の交代を約束して大統領選に出馬した。

8人の憲法裁判官は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領を罷免しただけでなく、“李在明(イ・ジェミョン)民主党”による弾劾の乱発のような専横にも、ひとつの声で厳しく警告を発した。

戒厳を布告した大統領が罷免されたからといって、30回も弾劾を乱発した野党代表がその座に就くのは、野球でいうところの“攻守交代”のようなものにすぎない。攻守交代をするのではなく、弾劾の連発と戒厳によって自制が崩壊した1987年体制を終わらせ、完全に新しい時代へと進まなければならない。

―なぜ“ハン・ドンフン”でなければならないのか。

時代の交代の必要性を、最も切実に感じているのが私だ。そして、その実行意志が最も強いのも私、ハン・ドンフンだ。

私は、1987年体制の矛盾の象徴ともいえる弾劾の連続と戒厳の真っただ中で、与党代表を務めていた。私ほど時代交代の必要性を直接体験した人間はいない。だからこそ、任期を3年に短縮するという自己犠牲をもって、憲法改正を通じた時代の転換を実現しようという意志がある。

もう極端な対立を終わらせ、完全に新たな時代へ移行しなければならない。それを成し遂げられるのは私しかいない。

―現在、「国民の力」は危機にある。その核心的原因は何か?

我が党は、文在寅(ムン・ジェイン)政権の数々の失策を改革すべきという時代的使命を背負って選ばれた。しかし、与党になった後は現実に安住し、旧時代的な政治にとらわれ、責任を果たせなかった。

私は非常対策委員長や党代表として、党の体質改善に取り組んできたが、私が去った後、党は再び改革から遠ざかり、既得権に安住する、政治家にだけ都合の良い政党になってしまった。

今こそ身を粉にする覚悟がなければ、我が党も、我が保守も、大韓民国そのものも大きな危機に陥るだろう。

―保守再建のために最も必要なことは?

国民が最優先という政治を取り戻すことが、反省と変化の第一歩だ。

序列をつくり、連判状を回し、それに参加しなければ冷遇されるような政治を続けながら、どうして“国民のため”などと言えるだろうか。実際には、力のある者が優先なのに、どうやって国民が優先の政治をしているなどと言えるだろうか。

そんなことでは、国民の支持は得られない。国民の目線の高さを恐れ、そこに近づこうと努力するときこそ、旧保守との決別、新たな保守への道が開け、我が党が勝利への道を進むことができるはずだ。

―尹前大統領が選挙戦に影響を与えるという分析もある。

尹錫悦前大統領
(写真=時事ジャーナル)尹錫悦前大統領

尹前大統領はすでに、“歴史の一部”となった。「国民の力」は、尹前大統領の影のように動く“影の政治”を続けてはならない。保守は、国民の前に堂々としているべきだ。その堂々とした姿を取り戻す道と、“影の政治”は真逆に位置していると考える。

―“ハン・ドクス待望論”が大統領選の変数として浮上している。

一部では、ハン・ドクス代行が無所属で出馬し、その後に「国民の力」候補と一本化するという構想が語られている。しかし国民の目には、「国民の力」の予備選をスキップして、あたかも不戦勝のように待っているように映るだろう。それが公正だとは思われない。

さらに、大韓民国の危機的状況において、重大な責任を放棄して出馬することを自然だと考える人も多くない。世論調査では、3分の2近くが反対の意向を示した。私が法務部長官時代に接したハン代行は理性的な方だった。常識から外れた決定はされないと思う。

―一本化の可能性は?

オ・セフン(ソウル)市長やユ・スンミン元議員のように、予備選を通じて党の裾野を広げられる人物が不出馬や不参加を選んだことは、非常に残念だ。

特にオ・セフン市長の「守るべきは特定の故人でも、勢力でも、陣営でもなく国家共同体」という発言は、私の考えと完全に一致している。

オ市長が大統領選の核心アジェンダとして掲げた「再び成長」というメッセージは、私が出馬宣言で述べた「成長する中産階級の時代」と重なり、また「弱者との共生」は、私が党代表時代から一貫してきた「格差解消」と同じ方向にある。私はその方々の分まで全力で戦うつもりだ。

―現在の支持率の推移はどう見ているか。

先週の世論調査では、「国民の力」の大統領選候補の中で支持率が20%を突破した。憲法裁の決定前には判断を保留していた党員や支持層が意思決定を始め、戒厳令に関する“李在明民主党”の攻勢から唯一自由である私に、本格的に支持が集まっている。

早期大統領選で候補を早く決める必要があるだけに、支持の結集スピードはさらに速まるだろう。

―一部では弾劾を賛成したことなどを理由に、“裏切り者フレーム”を持ち出す声もあるが、どう乗り越えるのか。

勝利する選択は私、ハン・ドンフンだ。そして私を選べば、我々は必ず勝利できるということをお伝えしたい。

私に対してまだ心が開かれていない党員や国民の方々と対話すると、その方々こそ、祖国を愛する心が最も強く、「危険な人物に国を壊されてはならない」という熱望を持つ方たちだと感じる。それは私の心ともまったく一致する。

私はその方々にこう申し上げたい。「私が戒厳を阻止するために国会本会議場に駆けつけたとき、李在明前代表は森に隠れていなかったか?」と。私こそが李代表を打ち破れる唯一の選択肢だということをお伝えする。

ー李在明候補に勝つための武器は?

李在明候補
(写真=時事ジャーナル)李在明候補

戒厳の夜、「国民の力」の党代表として、戒厳に真っ先に反対し、先頭に立って国会に駆けつけ、党の同僚議員たちと共にこれを阻止した。私が候補になれば、我が党は戒厳に関する攻撃から自由になれる。大統領選でのバランスはそこから始まる。

そして最終的に重要なのは、経済だ。李在明前代表は経済を理解しておらず、むしろその経済観は危険ですらある。

(彼は)経済といえば、借金してバラまくこと、地域通貨を配ること、エヌビディアのような企業を育てることは考えずに「K-エヌビディア」などと唱えて企業から搾り取ることばかりを考えている。国民全員に“韓国型ChatGPT”を無料提供すると言うが、まるでAIを地方の配達アプリか何かと勘違いしている。

こうした李在明式の“偽物の経済”と、AI時代にふさわしい成長戦略で“成長する中産階級の時代”を開き、成長と福祉の好循環を実現しようとする私の“本物の経済”はまったく異なる。国民の皆さんが本物を見抜いてくださると信じている。

―あなたが夢見る大韓民国とは、どのような姿か。

時代交代とは、政治が本来の役割を果たせるようにするための手段だ。政治が国民を包み込まなければならないのに、これまで政治が極端な対立に陥り、かえって国民がその政治を心配する事態を生んできた。

時代交代によって、そうした政治を終わらせ、国民第一の国、成長する中産階級の時代を切り開いていかなければならない。国民の70%は中産層であり、庶民も意志と努力さえあれば誰でも中産層になれる時代にしなければならない。

経済の中核である中産層が厚くなってこそ、社会が安定し、民主主義もまた健全になる。究極的には、政治が国民一人ひとりの平穏な“ごく普通の一日”を守る存在になるべきであり、私はそのような大統領になりたいと思っている。

―任期短縮・4年大統領中任制の憲法改正を提案した理由は?

政治学の泰斗であるイェール大学のホアン・リンス名誉教授が1990年に発表した論文『大統領制の危険性』は、南米の大統領制を分析したものだが、いまや大韓民国の現実にもそのまま当てはまる内容になってしまった。

与野党逆転の状況で、大統領と議会がそれぞれに付与された正統性を主張して対立し、それが極端化すれば、議会は大統領を弾劾し、大統領は軍を動員しようとする危険が生じうるというものだ。

憲法改正は、30回におよぶ連続的な弾劾と戒厳によって役割を終えた“87年体制”に終止符を打ち、まったく新しい時代へ移行するためのものだ。

大統領と国会議員の任期の始まりと終わりを揃え、大統領と国会という“異なる二元的正統性”による極端な対立の可能性を低下させるべきだろう。国会議員300人が自らの任期を短縮するとは考えにくいため、大統領が任期を縮めて合わせるしかない。2028年に大統領選と総選挙を同時に実施できるようにするため、自らの任期を短縮してでも憲法改正と時代の交代を完遂すると約束した。必ず実行する。

ハン・ドンフン候補
(写真=時事ジャーナル)ハン・ドンフン候補

―政界入りして最もやりがいを感じた瞬間は?

いくつもあるが、ひとつ挙げるなら、保守政党の代表として、保守の価値である安保と報恩の核心、“制服を着た英雄”たちへの礼遇を強化したことだ。

軍人が殉職すると階級が追叙されるが、実際に遺族に支給される年金は追叙前の階級を基準としていた。第2延坪海戦の英雄である故ハン・サングク上士の配偶者キム・ハンナ氏に会い、理不尽な軍人災害補償法の改正を約束した。

また、維新憲法時代に制定された憲法上の二重賠償禁止条項のために、殉職した軍人本人に対する慰謝料請求権が認められないという問題があったが、遺族の固有の慰謝料請求権を認めることは可能であるにもかかわらず、これまで国家賠償法にその根拠条項が存在しなかった。

軍務中に死亡した故ホン・ジョンギ一等兵の母パク・ミスク氏には、法務部長官時代から直接お会いし、国家賠償法の改正を約束した。これら2つの法案は昨年12月の定期国会で可決され、大きなやりがいを感じた。

―最も後悔している瞬間は?

後悔される瞬間と聞く方々は、おそらく戒厳や弾劾に関する答えを期待しているのだろう。しかし私は、自身の政治的損得ではなく、大韓民国と国民だけを考えて決断した。

もし過去に戻れたとしても、たとえ自分の父親が戒厳を敷いたとしても、私は同じようにそれを阻止したはずだ。それが“真の保守”の精神であり、“真の国民の力”の精神だと信じている。

弾劾は、もちろん私にとっても人間的に非常に苦しい決断だった。傷ついた方々の思いにも共感している。しかし、その道だけが保守を生かす道だと信じていたし、その考えはいまも変わっていない。

(記事提供=時事ジャーナル)

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