李在明氏が圧勝ムード…保守陣営にとって候補者の“一本化”が「選択」ではなく「必須」のワケ【韓国大統領選】

2025年05月10日 政治 #時事ジャーナル
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困難を極める。保守陣営の“候補一本化”の道は平坦ではない。

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現在、保守陣営は無所属のハン・ドクス予備候補と、与党「国民の力」のキム・ムンス大統領候補との間で、候補一本化の協議に集中している。

保守陣営にとって、両者の一本化は「選択」ではなく「必須」だ。5月8日時点で両者は電撃的に会談を行ったが、最終合意には至っていない。

今回の大統領選は、弾劾の余波によって民心の天秤が事実上傾いた「片勾配のグラウンド」となっている。8年前の朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾当時に行われた大統領選を見ても、弾劾局面では保守陣営の候補が当選の可能性を高めるのは非常に難しい。

一本化に慎重な動きに対して、保守陣営内からは強い非難の声も上がっている。「国民の力」のシンクタンクである汝矣島(ヨウィド)研究院のユン・ヒスク院長は「言葉を翻す政治は李在明(イ・ジェミョン)一人で十分だ。一本化する気がないなら、キム・ムンス候補は候補の資格を下ろし、道を譲れ」と迫った。

一本化なしでは「傾いたグラウンド」から抜け出せない

李在明候補
(写真=国会写真記者団)李在明候補

では、両者それぞれの競争力はどれほどか。

リアルメーターが『エネルギー経済新聞』の依頼で4月30日から5月2日にかけて実施した世論調査では、「共に民主党の李在明候補/改革新党のイ・ジュンソク候補/国民の力のキム・ムンス候補」の3者対決と、「李在明候補/イ・ジュンソク候補/ハン・ドクス候補」の仮想3者対決が実施された。

キム・ムンス候補を含む3者対決では、李在明候補が46.6%、キム・ムンス候補が27.8%、イ・ジュンソク候補が7.5%となり、李在明候補がキム・ムンス候補に18.8ポイント差をつけてリードした。

前回の調査と比較すると、李在明候補は4.3ポイント下落、キム・ムンス候補は4.5ポイント上昇している。

一方、出馬を公式に宣言したばかりのハン・ドクス候補を含む仮想3者対決では、李在明46.5%、ハン・ドクス34.3%、イ・ジュンソク5.9%という結果になり、李在明候補がハン・ドクス候補を12.2ポイントリードしている。

この調査で最初に注目されるのは、「ハン・ドクス候補の保守陣営内での競争優位」だ。キム・ムンス候補よりもハン・ドクス候補のほうが、保守陣営からの支持において、李在明候補と接戦を演出できるという結果だ。

ただし、この調査ではキム・ムンス候補、ハン・ドクス候補ともに、李在明候補と10ポイント以上の差がある。

ハン・ドクス候補
(写真=大統領室写真記者団)ハン・ドクス候補

第2の注目点は、より重要な部分だ。

今回の調査は、李在明候補の公職選挙法違反に対する最高裁による有罪趣旨の破棄差戻し判決が一部反映された状況で実施されたが、李在明候補の競争力が前回よりも打撃を受けたことが示されている。前回より4ポイント以上支持率が下落しており、「司法リスク」が全面的に反映された場合、さらに下がる可能性もあると見られる。

第3のポイントとして、ハン・ドクス候補がイ・ジュンソク候補と連携した場合、保守系単一候補の支持率は理論上40.2%にまで上昇することになる。その場合、李在明候補との差はわずか6.3ポイントまで縮まる。

保守陣営が主張しているように、イ・ナギョン元国務総理などを含めた「ビッグテント(連合)型」の連携が実現すれば、保守陣営の支持層はさらに拡大する可能性もある。

そのため「国民の力」の指導部は、両候補の一本化に死力を尽くしている。一本化が失敗すれば、保守陣営にとって今回の大統領選は「望みなし」と理解されかねない。

政党シンボルである「2番」を維持し、保守系ビッグテントの導火線となるべき一本化が失敗すれば、勝利へのシナリオは事実上崩壊する。このため、「国民の力」のクォン・ソンドン院内代表は5月7日、一本化を訴えながら「断食に入る」と宣言した。

キム・ムンス候補とハン・ドクス候補の一本化が劇的に成立する可能性も開かれているが、それでも可能性を予測しにくい理由の一つは、一本化に関する世論調査の結果がすでにある程度予測可能だからだ。

韓国ギャラップが『ニュース1』の依頼で5月4~5日に行った調査結果によると、「国民の力」支持者の間ではキム・ムンス候補が31%、ハン・ドクス候補が65%の支持を得ていた。政治的立場別に見ると、自身を「保守」と答えた層では、キム・ムンス候補35%、ハン・ドクス候補55%と、ハン・ドクス候補が優位を示した。

保守層はハン・ドクス出馬を「保守連帯の完成」と認識

キム・ムンス候補
(写真=時事ジャーナル)キム・ムンス候補

「国民の力」は、5月7日深夜の非常対策会議後、党として候補一本化の過程を主導することを発表。キム・ムンス候補とハン・ドクス候補には、一本化を目指したテレビ討論を提案する方針も明らかにした。

また同日、一本化に関する党独自の世論調査の結果も公開した。「一本化は必要だ」と答えた回答者のうち、86.7%が「候補登録締め切り(5月11日)前に一本化すべき」と答えたという。

保守連帯による一本化の中心軸は、政治フレームの転換に対する期待を背負うハン・ドクス候補だ。では、彼に対するビッグデータ上の反応はどうだろうか。

ビッグデータ分析ツール「SomeTrend」を使って、5月1日から7日までのハン・ドクスに関する関連ワードを抽出したところ、「大統領選」「候補」「権限代行」「李在明」「大統領」「国務総理」「大統領権限代行」「民主党」「国民の力」「尹錫悦(ユン・ソンニョル)」「選挙」「キム・ムンス」「ハン・ドンフン」「総理」「国民」「出馬表明」「共に民主党」「出馬」などの語句が挙がった。

これらの関連ワードからも、ハン・ドクス候補の出馬はすでに今回の大統領選における「常数」となっており、何より保守陣営にとって連帯の可否が最大の焦点となっている。

とはいえ、一本化が成立したとしても、世論調査の結果を総合的に分析すれば、保守陣営にとって厳しい戦いになることに変わりはない。それでも勝敗はさておき、保守は全戦力を注がなければならない状況だ。

保守にとって、ハン・ドクスとキム・ムンス両候補の一本化が「選択」ではなく「必然」である理由がここにある。

●インサイトK、ペ・ジョンチャン研究所長

(記事提供=時事ジャーナル)

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