日本球界でも活躍した名投手たちが違法賭博でイメージ失墜

2016年01月19日 スポーツ
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日本でもその名が知られる韓国球界屈指の名ストッパーたちが選手生活続行の危機に立たされている。かつてヤクルト・スワローズで活躍したイム・チャンヨンと、昨季まで阪神タイガースの不動の抑えだったオ・スンファンだ。

「海外のカジノで遊んだだけで起訴されて罰金?」と驚かれるかもしれないが、そもそも韓国では刑法で賭博に関する厳しい処罰があり、その法律運用は海外(韓国領域外)でも適用される「属人主義」。海外旅行などで一時的な娯楽として嗜む程度は例外だが、常習性があったり、過度な掛金を投じていたことが発覚すると処罰される。

日本の刑法は原則的に「属地主義(日本国の領域)」なのでラスベガスのカジノでギャンブルを行っても問題にならないが、韓国ではたとえ海外であっても賭博は厳禁なのだ。

「常習」と「一時的」の線引きは曖昧だが、社会的地位があったり、その頻度や金額が娯楽レベルを超えていたと判断されると、取調べの対象になる。

2人の背景には暴力団員が

オ・スンファン

ましてそこに組織暴力団が絡んでくると、捜査のメスは一層鋭さを増す。

ソウル中央地検によると、イム・チャンヨンとオ・スンファンがバカラを楽しんだのはカジノのジャンケットルーム(VIPルーム)でその営業権を得ていたのは元暴力団員だった。そうとは知らず、2人は数億ウォン(1億ウォン=約1000万円)の賭け金で賭博を行ったとして、先月12月にそれぞれ罰金700万ウォン(約70万円)の略式起訴処分を受けた。

イム・チャンヨンの推定年俸は5億ウォン(約5000万円)、オ・スンファンの推定年俸は3億円だったことを考えれば、2人にとって罰金700万ウォンは痛くもかゆくもない金額だが、よりダメージが大きかったのは1月8日に韓国野球委員会(KBO)が下した懲戒処分だろう。

KBOは韓国球団が2人と契約を交わした場合、該当球団がその年に行う公式戦の50%を消化するまで、2人は2軍での試合を含めて試合に出場できない「シーズン50%(約72試合)出場停止」という処分を下したのだ。

そして、この処分によって2人の選手生命は大きな危機に直面している。というのも、イム・チャンヨンは賭博疑惑が発覚したことで、2014年から所属していたサムスン・ライオンズから放出された。昨季は55試合登板5勝2敗33セーブを記録したものの今年で40歳。賭博行為でイメージが失墜し、なおかつシーズンの50%を起用できないベテランと契約を交わす球団が現れるかは未知数だ。

オ・スンファンは阪神タイガースを退団

一方のオ・スンファンは今回の賭博容疑で阪神タイガースとの再契約交渉が打ち切られ、阪神退団が確定。

2016年はかねてよりメジャー進出を示唆しており、セントルイス・カージナルスなどが興味を示しているという噂もあるが、メジャーでの実績ゼロの韓国人ピッチャーに対して、彼が望む年俸や待遇条件を示すメジャー球団があるかは未知数。

韓国メディアも「交渉は一筋縄ではいかないだろう」と見ており、メジャー球団との交渉失敗に終わった場合、前出の「シーズン50%出場停止」処分もあって韓国球界復帰も一筋縄ではいかないだろうという見方なのだ。

そんななか、一部で囁かれるのが日本球界契約説。

イム・チャンヨンはヤクルト時代の3年間で通算100セーブを達成しており、オ・スンファンは2年連続のセ・リーグ最優秀救援投手。ともに実績は申し分ないが、ただでさえ読売ジャンイアンツの笠原・福田・松本の野球賭博問題でギャンブルや賭博というキーワードに敏感な日本球界が、2人をすんなりと受け入れるとは考えにくい。

つまり、イム・チャンヨンもオ・スンファンもその選手生命の岐路に立たされているわけだ。

奇しくもともに救援投手だった2人。ギャンブルで名を落とした2人のストッパーに、救いの手を差し伸べる球団ははたして現れるだろうか。

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