グループリーグ最終戦でドイツに2-0で勝利した韓国。この勝利は韓国でも大々的に報じられているが、特に大きく取り上げられているのが、マン・オブ・ザ・マッチを受賞したGKのチョ・ヒョヌだ。スウェーデン戦とメキシコ戦に続き、ドイツ戦でも好セーブを連発し、韓国のピンチを凌いだのだからそれも当然だろう。
もっとも、チョ・ヒョヌがそれほど注目されていることには、その経歴も関係している。
というのも、チョ・ヒョヌの代表経験はドイツ戦を含め9試合のみ。ワールドカップの出場経験もなかった。ブラジルW杯にも出場し、この4年間、正GKとしてプレーしてきたキム・スンギュと比べると、圧倒的に経験が少ないのだ。
さらにいえば、チョ・ヒョヌはロシアまでわずか半年あまりの間にシン・テヨン監督の信頼を勝ち取っている。
そもそもチョ・ヒョヌは、2013年にKリーグの大邱FCでプロデビューし、クラブでは主力として活躍してきたが、その多くは当時「チャレンジ」と呼ばれていた2部リーグだった。2015年から代表に招集されてきたが、なかなか出場機会も得られなかった。
しかし、2017年11月にホームで行われたセルビア戦で代表デビューすると、いきなり好セーブを連発。キム・スンギュがケガで離脱した同12月のE-1選手権でも韓国の優勝に貢献し、最優秀GKにも選ばれている。
昨季はKリーグの最優秀GKにも選ばれたチョ・ヒョヌは、その後も存在感を発揮。ロシア前の最後のテストマッチとなった6月11日のセネガル戦でもスタメン起用された。
そして、ロシアでの大活躍だ。2017年11月のデビューから、半年あまりの間に大出世を果たしたのだから、韓国記者たちが注目するのも不思議ではないだろう。
また、日本のメディアでも取り上げられているように、その奇抜な髪形も注目される理由の一つだ。
韓国のGKの奇抜なスタイルというと、多くの日本のサッカーファンたちが1998年のフランスW杯に出場したキム・ビョンジを思い浮かべるのではないだろうか。
なぜか後ろ髪だけロン毛で、しかも金髪というスタイルは強烈だったが、奇しくもチョ・ヒョヌがサッカーを始めたのは、そのキム・ビョンジがきっかけだという。
チョ・ヒョヌは大邱FC入団当時のインタビューで、フランスW杯のメキシコ戦でキム・ビョンジを観てGKになりたいと思ったと話しているのだ。
もっとも、チョ・ヒョヌはロールモデルとしてスペイン代表のデ・ヘアを挙げており、「(デ・ヘアに)近付けたわけではないけれど、似たような髪型になった」とも語っている。独特なヘアスタイルは、キム・ビョンジよりもデ・ヘアの影響が大きいのかもしれない。
しかもチョ・ヒョヌは、ヘアスタイルのみならず私生活もユニークだ。
2016年12月に3つ歳上のイ・フィヨンさんと結婚したが、自身のプロ100試合目のホーム戦で、大観衆が見守る中で公開プロポーズを行った。
こうした経歴と派手なキャラクターも相まって、チョ・ヒョヌの活躍に注目が集まっているのである。
ロシアでスーパーセーブを連発し、大きな関心を集めたチョ・ヒョヌ。
韓国ではチョ・ヒョヌの“リバプール移籍”説も挙がっているというが、いずれにしても、今後の活躍が楽しみな選手であることは間違いない。
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