実際、公式発表直後には「香川、セレッソ復帰…欧州生活にピリオド」(『スポーツトゥデイ』)、「香川真司、12年ぶりに古巣セレッソ大阪復帰」(『MHNスポーツ』)など、複数メディアによる速報が韓国ネットに流れた。
なかでも、サッカー専門メディア『InterFootball』は近年のキャリアに注目。「香川は欧州の舞台を転々としながら再起を夢見た。ベジクタシュ、サラゴサ、PAOK、シント=トロイデンに所属した。しかし復活に失敗し、選手生活に危機を迎えた。そしてついにセレッソへカムバックした」と伝えていた。
そもそも韓国サッカーファンの間では、2011年8月に札幌ドームで行われた日韓戦で活躍した選手という印象が強い。当時は香川の2ゴールもあって日本が韓国に3-0で完勝したが、敗れた韓国の方では「札幌惨事」と呼ばれるほど、ライバル相手のショッキングな惨敗劇として今も語り継がれている。
韓国は最近でも、2021年3月に日産スタジアム行われた日韓戦で再び「3-0」のスコアで敗れた際に10年前の「札幌惨事」を想起。「(札幌惨事は)依然として2002年韓日W杯ベスト4の幻想に浸っていたサッカーが気を引き締める契機になった。また、翌年開かれたロンドン五輪で韓国サッカー史上初の銅メダルを獲得する土台になった」と改めて振り返るメディアもいた。それだけ韓国サッカーの歴史に大きな衝撃を与えた日韓戦の主人公が、まさに香川だったわけだ。
2006年から現在まで続くキャリアの間には韓国人選手との繋がりもあった。2009年からドルトムントに移籍する2010年夏までは、今もセレッソ大阪一筋を貫くGKキム・ジンヒョンと共闘。マンチェスター・ユナイテッド移籍を挟んで過ごした2度目のドルトムント時代にはDFパク・チュホとプレーし、2016-2017シーズンのDFBポカール優勝の喜びをともに味わった。
特にパク・チュホは、ドルトムント以前にJリーグでプレーした経験もあるため、香川とは日本語でコミュニケーションしたという。香川のインスタグラムの過去投稿を遡ると、2人が仲睦まじい様子でツーショットを撮った写真も見られた。その逆も然りで、パク・チュホのインスタグラムには香川の誕生日を祝う投稿もあった。
「2010年代に日本サッカー界の“欧州組”を代表したベテラン」とは、公式発表前に香川のJリーグ復帰可能性を報じた『スポーツソウル』の表現。かつての日本代表10番が母国で再び輝きを放つことはできるのか、韓国サッカーファンも注目しているはずだ。
(文=サーチコリアニュース編集部H)