日本では半数が受け取れない養育費…“未払い”が長年問題の韓国で導入される「養育費先払い制度」とは

2024年12月10日 社会 #結婚・出産
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ひとり親世帯において、養育費は重要な問題だ。しかし、現実には受け取っていない人も少なくない。

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厚生労働省が発表した「令和3年(2021)度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯で「現在も養育費を受けている」という回答者は全体の28.1%にとどまった。

「養育費を受けたことがある」(14.2%)を含めても全体の約4割で、「養育費を受けたことがない」と回答した割合が56.9%で最も多かった。

同様の結果は、ひとり親家庭を対象としたフードバンク事業『グッドごはん』を運営する認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンが今年8月に行った調査でも明らかになっている。養育費を「一度も受け取っていない」と答えた人は50.3%に上り、半数を占めている。また、「決まった金額を毎月不足なく受け取っている」人はわずか19.6%だった。

厚生労働省の前出の統計で、母子世帯の平均年収が「272万円」と示されているだけに、養育費を受け取れない家庭の経済状況は厳しいものとならざるを得ない。

韓国では来年7月に「養育費先払い制度」導入

それは、お隣・韓国も同じだ。

赤ちゃん
(写真=photoAC)

2023年の韓国統計庁の調査によると、18歳以下の子供を養育しているひとり親世帯は、約35万世帯ある。そのうち18歳以下のひとり親世帯の半数以上が、低所得層を対象とした「ひとり親家庭証明書」の発行対象となっていることがわかった。

養育費の重要性がわかるデータだろう。ただ韓国では様々な対策が取られている。

養育費の未払いが長年問題となっていた韓国では、2022年8月に「養育費履行確保および支援に関する法律」が改正され、支払わない人への罰則が強化された。女性家族部によると、その結果、養育費の履行率が2021年38.3%から2024年9月44.7%と増加したという。

さらに韓国では、来年7月から「養育費先払い制度」を導入する。これは、養育費の債務不履行時に国家がまず子供に養育費を支払い、その後、債務者から回収する制度だ。

その内容は、9月26日に国会を通過した「養育費履行法」改正案に基づき、韓国政府が基準中位所得の150%以下の養育費未払いひとり親家庭(債権者基準)を対象に、子供1人あたり18歳まで毎月20万ウォン(約2万1000円)の養育費を先払いするというもの。女性家族部の推計によると、支給対象者は約1万9000人に上る。

時代の変化とともに家族の多様化が進んでいる現代において、養育費未払い問題は日本や韓国だけでなく、世界各国が直面する共通の課題だ。これに対応するための制度や取り組みが、家庭の安定と子供の未来を守る大きな鍵となるだろう。

(文=サーチコリアニュース編集部O)

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