マイナンバーカードへの懸念や「紙の保険証」をめぐる議論が続いている日本とは対照的に、韓国ではデジタル身分証の導入が着実に進んでいる。
韓国の行政安全部は12月18日、2022年7月の運転免許証を皮切りに導入されたデジタル身分証の発給者数が400万人を突破したと発表した。
現在、韓国で発給されているデジタル身分証は、運転免許証、国家報勲登録証、在外国民身元確認証の3種。今回発表された400万人とは、ほとんどが「デジタル運転免許証」の数字だ。
運転免許証発給者数全体(約1300万人)の約30%に当たり、運転免許証を持つ10人に3人がデジタル化したことになる。
そして来年2月からは、いよいよ「住民登録証」がデジタル化する。
住民登録証とは、韓国で17歳以上のすべての国民に発行される身分証明書のこと。1968年の住民登録法で施行された。個人を識別する13ケタの番号が振り当てられ、様々な情報が一括管理されており、日本のマイナンバーカードに相当する。
その住民登録証が、紙の身分証からプラスチックカードを経て、いよいよデジタル化される。「デジタル住民登録証」が全面的に発行されれば、これまで以上に多くの人が、実物の身分証を持たなくても身分証が必要な業務を便利に行えるようになると期待されている。
デジタル住民登録証には、ブロックチェーン技術に基づく分散型アイデンティティ(Decentralized Identity:DID)が適用されているという。
この技術の特徴は、利用者の身元情報を本人のスマートフォンに保存し、発行情報をブロックチェーンの分散サーバーに保存することで、個人情報を中央サーバーに保存せず分散して管理する点にある。
中央集中的なサーバー環境では攻撃を受けるとサービス全体が麻痺する可能性があったが、この方式ではデータが複数の場所に分散保存されるため、一カ所で障害が発生してもサービスを継続提供できるそうだ。
行政安全部は来年からデジタル身分証に電子署名機能を追加し、転入届やパスポート再発行申請など、多様な電子政府サービスを利用できるようにする。
行政安全部のイ・ヨンソクデジタル政府革新室長は、「デジタル身分証は従来の身分証による本人確認を代替するだけでなく、デジタルでの身元確認や民間アプリとの連携など、幅広い分野で国民の生活をより便利に変えている」と述べ、「今後もデジタル身分証で多くのサービスを便利に利用できるよう、連携サービスを拡大していく」と強調した。
オンライン上では「選挙での投票にも利用できるようにしてほしい」「地下鉄など公共交通機関と連動してほしい」といった意見が寄せられた。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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