認知アップか詐欺行為か…韓国の地方大学が踏み切った定員割れ改善対策

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大手学習塾として有名な河合塾は2021年10月1日、大学入試情報サイト「Kei-Net」の入試・教育トピックスに「私立大 定員割れ大学の割合が大きく上昇」と掲示。定員割れの私立大学が46.4%まで上昇し、小規模大学や地方大学で特に深刻な状況であることを明かした。

このデータによると、2021年度の私立大学の延べ志願者数は、前年度より約53万3,000人減の383万4,862人となっていて、定員充足率が80%未満の大学も増えており、入学定員100人未満の小規模大学では全体の4割が該当。定員割れ短期大学の割合も前年度の73.9%から83.6%に大きく上昇している。

こうした状況を、河合塾側はコロナ禍による感染拡大への懸念や家庭の経済状況悪化で出願校をしぼった受験生が例年以上に多かったと分析している。

未曾有のパンデミックを前に、大学経営も大変なのだ。こうした状況はお隣・韓国も同様であり、経営が困難な大学の中では“ある悪あがき”がひそかなブームとなっている。

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それが、大学名の前に「国立」の二文字を追加するというものだ。

実例を挙げるならば、入学志願者総数が前年比14%減となった安東(アンドン)大学が大学の対外認知度を高めようとする目的で、校名に「国立」を入れて変更をしようとしている。

韓国で相次ぐ、校名に「国立」を入れることで、認知度を高めようとする策略だが、多くの識者の間で、「単純な学校名の変更より、大学の独自の競争力を高めることが急務である」という指摘が出ている。

こうした指摘に対して、安東大学側は在学生を対象にアンケート調査を実施、6014人のうち1343人(22.3%)が回答し、このうち86.5%が賛成という結果となった。ちなみに、メンバー別の参加率は、学生19.2%、教授42.3%、従業員52.1 %が参加した。

国立安東大学の2020年度ポスター

もはや、変更は確定とばかりに、安東大学はしれっと学校の正門や外壁、ホームページなどの校名が表記される箇所をひっそりと国立安東大学に変更している。

超学歴社会と揶揄される韓国において、受験生が入学したい大学は一握りだ。それだけに、有名校に知名度の劣る大学は、新入生確保に躍起となっている。もはや、大学自体が生存競争を図っていると言えるだろう。

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