東方神起からBTS、TWICEまで完コピする“K-POPカバーダンス”の熱狂ぶりとは?【思い出インタビュー】

2021年11月30日 ライフ #アイドル
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日本は今、かつてないほどダンスがメジャーとなっている。

20011年から小学校、2012年から中学校、2013年からは高校でダンスが授業として取り入れられるようになってダンスが身近になったといわれているが、一般財団法人ストリートダンス協会によると、日本のストリートダンス人口は600万人にも上るというから驚きだ。

そんな日本のダンス人気のなかで、ひとつのジャンルとして確かなポジションを得ているのが、K-POPだ。最近は社交ダンス、ヒップホップ、レゲエなどと並んで「K-POP専門」のカリキュラムやコースを設けて指導するダンス・スクールが多くなった。

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今から2年前、そんな状況を取材しK-POPダンス熱を実感したインタビューがあった。東京にスタジオを構える「Dance Studio Cielo」での取材だ。

ここは日本初のK-POP専門ダンススクールとして知られ、主宰する町田真吾氏に話を聞いた。以下はそのときのインタビューの様子を再録するものだ。

(写真提供=Dance Studio Cielo
 


―今や空前のダンスブームといわれていますが、町田さんが主宰する「Dance Studio Cielo」は“K-POP専門”を謳っています。どのくらい受講者がいるんですか?

「目黒区と渋谷区にスタジオがあるのですが、どちらも毎月たくさんのK-POPファンで賑わっています。男女比は、女性8対男性2の割合。メイン年齢層は20~30代の大学生や社会人、主婦の方が多いですね。

Cieloをきっかけにダンスを始めたという方や、学生時代ダンスをやっていた方など、K-POPが大好きで、それをきっかけに踊りたいといらっしゃる方が多いです」

―どんなグループが人気ですか?

「BTS、SEVENTEENなどですね。TWICEもそうですし、BLACKPINKなんかはめちゃめちゃ人気です。最近デビューしたITZYもかなり注目されていますね」

―町田さんはそもそもなぜ、K-POPのダンススクールを主宰することになったのですか?

「もともとダンスと密に接する音楽関係の仕事をしていたのですが、ダンス自体が僕の周りでも、興味はあるけどハードルが高いと感じている方が多く、もっと多くの方にダンスの楽しさを知っていただくにはどうすれば良いかと考えていたところ、2011年頃からK-POPカルチャーに関する同好会やサークルが増えていて、K-POPというジャンルに特化したダンスレッスンをやってみようと思ったのがきっかけでした」

―2011年頃といえば、東方神起、BIGBANG、KARA、少女時代などちょうど“第2次韓流ブーム”が起きた頃でした。東方神起のパフォーマンスには驚いた?

「東方神起もそうですが、僕がK-POPに興味を持ち始めた頃はちょうどSHINeeが流行っていて、彼らのパフォーマンスに驚きました。

そもそもダンス界隈の人間から見ても、K-POPのダンスは完成度が高い。音楽的にもヒップホップやクラブ・ミュージックの視点から見たときに、楽曲そのものが世界のトレンドのものと比べても遜色がないほど格好いい。歌も良い、ダンスも上手いわけです。振り付けも洗練されていて、K-POPというカルチャーには衝撃を受けましたね」

―それで「Cielo」を始めるわけですね。

「ええ。最初はワークショップの一環として小さなレンタルスタジオを借りてK-POPに特化したレッスンを不定期に始めたのですが、希望者がどんどん増えいきました。月2回が月3回、月4回を実施しても途切れず、2011年からK-POP専門のダンススタジオとして、本格的にスタートすることとなりました」

―カリキュラムを見ると、単に初級・中級・上級とレベル分けされたK-POPダンス講習ではなく、東方神起、BTS(防弾少年団)、少女時代、SEVENTEEN、TWICE、BLACKPINK、IZ*ONEなどアーティスト別はもちろん、さらに細分化された楽曲別のレッスンがあって驚きました。

「私がスクールを始めたそもそものきっかけは、ダンスを普及したいというところからなんです。ダンスって興味はあるけど、スクールやスタジオレッスンを受けるのはハードルが高いと思われがちです。勇気を持って参加してみても、振りがすでに何週も進んでいて途中から入りづらいこともあります。

そんなダンススクールへの敷居を低くしたかったし、K-POPというジャンルはダンスに特化していて、キャッチーでわかりやすい。かつ、YouTubeで本人の練習動画やミュージックビデオなどで完成形をイメージしやすい。そこで、K-POPのアーティスト別、楽曲別の振り付けを一緒にやろうというコンセプトに定めました。

これなら1カ月で1曲をマスターしてみようとか、4週間で踊れるようになってみようとか、目標も立てやすいし、途中からでも始めやすいと思ったんです」

―最近の受講者の傾向や特徴はありますか? 女子中高生たちの間では“クール・コリア現象”という言葉もあるほど、韓流やK-POPが人気ですが、ダンスをしたいことも増えている。

「そうですね。ここ数年は若年層、特に中高生が男女ともに増えている印象です。ユーチューブの影響は本当に大きくて、韓国のアーティストたちはダンスの練習動画などもどんどん情報を出すので、それきっかけで興味を持つ人もいます。動画を参考にして振り付けの細かな動きをマスターするファンもいると思います。

いずれにしても年齢層はかなり幅広いです。なかには親子で参加する生徒さんもいて、お母さんと一緒に受けられるような簡単なレッスンはないかと相談してきた女の子もいました」

―K-POPが幅広い層に浸透していることがわかるエピソードですね。

「K-POPはひとつのダンスジャンルとして独立化しつつありますよね。ここ最近では大手のダンススタジオチェーンでも、K-POPというジャンルが用意されていて。

誤解を恐れずにいうと、2011年頃はまだK-POPはひとつのジャンルとして認識されていなかった。けれど、ここ2~3年でK-POPはひとつのジャンルとして認識されています。カルチャーがジャンルになった。これは凄いことですよ」

文=慎 武宏

*この原稿はヤフーニュース個人に掲載した記事を加筆・修正したものです。
 
 

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