新型コロナによって世界中の人々の生活に変化が生じた。その変化には、人生の“質”を変えてしまうような否定的なものも多分に含まれている。
【注目】コロナ防止のために「個人的な権利の一部を犠牲にできる?」日本が最下位
お隣・韓国では、数字でそれを確認できる。韓国統計庁が3月15日に発刊した「2021年、国民の人生の質」という報告書だ。
2021年とタイトルで打たれているものの、項目によっては2020年の数字もある。いずれにしてもコロナ禍という共通点があり、コロナ前の2019年と比較されている。
変化が著しいのは、1人当たりの「国内旅行の日数」だ。コロナ前の2019年は「10.01日」だったが、2020年の「5.81日」にまで減少。半分ほどにまで減った。同じ文脈で「文化芸術・スポーツ観覧回数」も、2019年の8.4回から2021年4.5回と大幅に減少。コロナの影響がダイレクトに響いていると分析できる。
ただより深刻なのは、「家族・共同体」の項目だろう。
まず「社会的な絆がどれほど広がっているかを示している」(韓国統計庁)という「社会的孤立度」だ。2019年の27.7%から2021年は34.1%まで上昇。2009年からの同調査で最悪の数字となっている。
その原因について韓国統計庁は「新型コロナで人との関係が縮小・制限されて、急激に上昇した」と分析しており、「助けてもらえる人が一人も見ないということは、個人的な人生の質と同時に社会の質とも関連する」と問題の深刻さを指摘した。特に60歳以上になると社会的孤立度が41.6%まで上っており、孤立する高齢者がますます社会的な問題となりそうだ。
「対人信頼度」も大幅に数字が下がった。ここでいう対人信頼度は、「自分と親密な人ではない、一般的な人たちをどれだけ信頼できるか」を意味する数字だ。同調査の「対人信頼度」は2014年の73.7%をピークに少しずつ下がり、近年は60台後半で推移し、2019年は66.2%だった。しかし2020年の数字は50.3%と、15.9%ポイントも急落した。
この原因についても韓国統計庁は「新型コロナによる社会変化の結果と見ることができる。コロナによって個人間の距離確保が日常化し、他人から感染しうるという恐れが対人信頼度を下げることに影響を及ぼした可能性がある」と分析した。
新型コロナが終息すれば、こういった数字は戻ってくるのだろうか。今後も注視したい。
(文=サーチコリアニュース編集部)
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