ノーベル文学賞受賞者が韓国人から出たことで、盛り上がる韓国の出版業界。だが、いざ蓋を開けてみると、自国内の読書率は低下が著しい。
韓国の文化体育観光部が発表した「2023国民読書実態調査」によると、成人の読書率が過去最低となった。昨年一年間、一般図書をたった1冊でも読んだ人の割合を意味する「総合読書率」は43.0%にとどまった。1994年に始まった読書実態調査で過去最低の数字だ。
その反動なのか、若者の読書率は上昇傾向にある。特に20代の読書率は74.5%だ。およそ15万人が訪れた今年のソウル国際図書展も、訪問客の70%以上が20~30代だった。
また、最近ではZ世代を中心に、印刷された活字を読む行為に「特別な価値」があり、本を読む姿を共有する文化が広がっている。
「テキストヒップ(Text Hip)」という言葉まで広がっている。これは、「文字」を意味する「Text」と「素敵」という意味の「Hip」を組み合わせた造語で、「読者をする人は素敵」という意味だ。Z世代では、本を読了したら書籍の内容紹介や共感を求めてSNSに投稿する文化が広がっている。
実際に韓国では10代の書籍購入量が5年連続で増加しており、今年上半期の10代の書籍購入量は前年同期比46.3%も増加した。
こうした状況に、韓国内では「本を読むためというより、SNSで共感を得るために読んでいると聞く。どんなきっかけでも読書率が上がることはいいことだ」「読んでるフリでもいいことだ」「本に触れるのは素晴らしい」など、称賛の声が多く上がっている。
全体的には読書率が下がった韓国だが、ノーベル文学賞を受賞した“ハン・ガン旋風”と「テキストヒップ」の相乗効果で良い流れが生まれそうだ。
■「読んだことがない」が全体の8割…韓国初ノーベル文学賞作家の作品、保守層は「今後も読まない」
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