韓国を代表する企業、サムスン電子のイ・ジェヨン会長が、サムスン物産と第一毛織の不当合併による違法な経営権継承疑惑事件の控訴審で、無罪判決を言い渡された。
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これにより、イ会長を長年拘束してきた司法リスクが解消され、サムスンのグローバル経営が本格化する見通しだ。
2月3日、ソウル高裁・刑事13部(部長判事ペク・ガンジン、キム・ソンヒ、イ・インス)は、資本市場および金融投資業に関する法律違反などの容疑で起訴されたイ会長に対し、無罪を言い渡した。 1審と同様に控訴審でも19のすべての容疑に無罪判決が下された。
裁判所は、サムスン物産と第一毛織の合併がイ会長の経営権継承や支配力強化のみを目的としたものとは認められないと判断。合併比率、合併時期、サムスンバイオロジクスとサムスンバイオエピスの支配関係など、争点となった問題を一つずつ検討した上で、検察の主張をすべて棄却した。
特に、今回の事件の最大の争点であったサムスンバイオロジクスの虚偽公表・不正会計疑惑については、「(Biogenの)コールオプションが行使された場合、バイオロジクスが(バイオエピスに対する)支配権を失うという事実を主要なリスクとして公表すべきだった」としながらも、「意図的に隠蔽したとは認められない」と判断した。
また、サムスン物産と第一毛織の合併報告書がイ会長の経営権継承を目的として操作されたとする検察の主張も受け入れなかった。
イ会長の弁護人であるキム・ユジン弁護士らは、判決後の記者会見で「公正な判断を下してくださった裁判所に心から感謝する」と述べ、「この判決を機に、被告人たちが本来の業務に専念できることを願う」と強調した。
先立って2020年9月、イ会長らは2015年に行われた第一毛織とサムスン物産の合併過程で、経営権を安定的に継承し、支配力を強化する目的で不正取引や株価操作、会計不正に関与した疑いで起訴された。
1審では3年5カ月に及ぶ審理の末、昨年2月に無罪判決を受け、今回の控訴審でもその判決が維持された。
控訴審で無罪判決を受けたことで、イ会長をめぐる法的問題は事実上終結した。
仮に検察が最高裁に上告したとしても、三審制の最終審では法律解釈や適用の正当性のみが審査されるため、判決が覆る可能性は極めて低いとみられる。
イ会長をめぐる司法リスクは、2016年の「国政壟断(ろうだん)事件」から始まり、9年以上続いた。この間、サムスン電子の経営は停滞を余儀なくされた。
「国政壟断事件」の影響で、サムスンの未来戦略室が解体され、経営の司令塔が不在となったのだ。また、半導体事業ではAI向けの高帯域メモリ(HBM)分野における競争力が低下し、市場での優位性を失いつつある。
モバイル部門も、アップルや中国企業との競争が激化したことで業績が低迷し、昨年の営業利益は前年比18.5%減少した。さらに、大規模なM&A(企業買収)も、2017年のハーマン買収を最後に7年以上進展がない。
そのため、司法リスクを脱したイ会長の今後の経営方針に注目が集まっている。
イ会長は昨年11月25日の控訴審での最終弁論で、「サムスンの未来に対する懸念が大きくなっていることを十分に認識している」とし、「厳しい現実に直面しているが、必ず乗り越え、さらに前進していく」と語った。
これまで裁判の影響で経営面での積極的な動きが制限されていたが、控訴審の無罪判決を機に、グローバル経営を本格化する可能性が高いとみられている。
サムスンは、グループの司令塔(コントロールタワー)の再建を本格化させ、AI・ロボット・バイオ・自動車電子機器事業などの新規分野に重点を置き、成長戦略を精査するものとみられる。
さらに経営責任の強化の一環として、イ会長が取締役に復帰する可能性も浮上している。
(記事提供=時事ジャーナル)
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