韓国・慶州市が松枯れ(マツ材線虫病)対策の伐採作業中に、ユネスコ世界遺産に登録されている「慶州南山(キョンジュ・ナムサン)」の文化財を損傷する事故が発生し、議論を呼んでいる。
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複数の目撃者や市関係者によると、最近、慶州国立公園の南山一帯で行われていた防除作業中、マツ材線虫病に感染した松の木を伐採していた作業員が木を倒す際の操作を誤り、「茸長渓谷石造如来坐像」に衝突。倒れた木によって坐像の一部に樹皮が付着し、明らかな傷が残ったという。
この石仏は頭部こそ失われているが、胴体部分が比較的良好な状態で残っており、周囲には文化財解説板も設置されている。ただし、現在は「指定文化財」ではなく未指定の国家遺産扱いである。
この件について慶州市の関係者は、「慶州市内には90カ所以上の松枯れ防除現場があり、管理が追いつかないのが実情」と説明。また、「現場は2~3日おきに巡回点検し、作業者への教育も毎日行っているが、作業員の多くが高齢者や外国人労働者であるため、実際には多くの困難がある」と釈明した。
慶州南山は新羅時代の文化遺産が数多く眠る歴史的エリアで、ユネスコ世界遺産にも登録されている。未指定を含めると約760点にのぼる遺跡・仏像・石塔が点在しており、「野外博物館」と称されるほど貴重なエリアだ。
そのため慶州市は、今年 10月に開催予定のAPEC首脳会議を控え、松枯れ対策として市内の森林地帯を対象に大規模な防除作業を展開している。南山区域だけでも68億ウォン(約7億円)を投入し、感染が確認された約4万2000本の松を伐採・破砕・燻蒸処理する計画だ。
文化遺産が密集する地域での大型伐採が続くなか、今回のような管理不備による損傷事故は「防げたはずだ」と批判の声も上がっており、文化財保護と自然管理のバランスが問われている。
(記事提供=時事ジャーナル)
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