12月13日は南京大虐殺(南京事件)から88年目にあたる日だった。日中戦争中の1937年、日本軍は当時の中国の首都・南京を占領した後、6週間にわたり市民や投降兵を大規模に虐殺した。
この日、南京大虐殺に関する記念館では中国人数千人が参加する中、国家追悼式が開かれた。
中国メディアは日本を名指しし、大々的な攻勢も展開した。注目すべき点は、批判の焦点が「軍国主義の復活」と「軍事拡張」に置かれたことだ。中国国営通信社の『新華社』は「30万人虐殺の痛みは忘れられない」とし、「日本右翼の歴史歪曲、外部勢力の台湾介入、日本軍国主義の復活を決して容認できない」と強調した。
共産党機関紙の『人民日報』は、高市早苗首相の「台湾有事介入」発言を「日本は一線を越える挑発を行い、過ちを正そうとしていない」と指摘した。また、最近の日本の防衛費増額決定、与那国島へのミサイル配備計画などを列挙し、「日本が軍事拡張の道に陥っている」と批判した。
12月14日、『人民日報』姉妹紙の『環球時報』は「中国を牽制するため、馬毛島に軍事基地を建設し、前方戦闘網の構築を企てている」とし、「これは軍国主義復活の危険な兆候だ」と主張した。
日本は2022年から防衛費の増額を推進してきた。
長年、日本の年間防衛予算はGDP(国内総生産)の1%に制限されてきた。しかし、国家安全保障政策の根幹である「安保3文書」を発表し、「2027年度までに防衛費をGDP比2%まで引き上げる」と宣言した。
問題は増額の財源だった。日本政府は所得税、法人税、たばこ税を段階的に引き上げようとしたが、増税による国民の反発を懸念し、実施を先送りしてきた。
そうした中で、ドナルド・トランプ米大統領が再び政権を握った。トランプは中国に対応するため、日本に防衛費をGDP比3.5%まで引き上げるよう求めた。
中国に強硬な立場を持つ高市首相が政権を掌握すると、日本は昨年11月、防衛費をGDP比2%に前倒しで増額する案を打ち出した。12月5日には、日本メディアが「政府が法人税とたばこ税を来年4月に引き上げ、所得税には1%を上乗せする防衛特別消費税を新設し、2027年から課す計画だ」と報じた。防衛費増額の障害だった財源を確保した形だ。
その結果、2026会計年度の防衛予算は過去最大となる9兆円に達する見通しだ。過去10年間、5兆円台にとどまってきたことを考えれば、きわめて大規模な防衛費増額である。
日本の防衛費増額が急ピッチで進む中、中国が牽制に乗り出した。12月4日、中国メディアは一斉に「日本が台湾に隣接する南西諸島で、中国を狙った軍事施設を拡張している」と報じた。その代表例として挙げたのが馬毛島と与那国島だ。
馬毛島は九州から30km離れた、面積8平方キロの小さな無人島である。日本政府は2019年に160億円で買い取り、2023年から総額1兆226億円を投じる大規模工事に着手した。本来の目的は空母艦載機の離着陸訓練基地だったが、現在は「不沈空母」としての役割を担うまでに規模が拡大した。
最近、馬毛島に投入された建設人員は6000人を超え、全長2kmの滑走路、格納庫、火薬庫、係留埠頭、居住施設などが建設されている。中国メディアは、馬毛島が日本南西諸島の訓練と作戦におけるハブを担い、島嶼地域が攻撃を受けた際に対応する基地任務を果たすと見通した。
実際、アメリカと日本は沖縄の米軍基地に配備された戦闘機部隊を馬毛島に移転する案を検討中だ。中国は、馬毛島が上海から900kmも離れているにもかかわらず、中国の太平洋進出を阻止する軍事的前哨基地になることを懸念している。
与那国島は台湾から110km離れた日本最西端の島である。もともとは民間人のみが住んでいたが、2015年の住民投票を経て自衛隊が駐屯した。その後、日本は与那国島にレーダー基地を設置し、中国を監視してきた。11月23日には小泉進次郎防衛相が与那国島を訪れ、「今後、ミサイル部隊と電子戦部隊の配備を推進する」と明らかにした。敵国の侵攻に備え、航空機や巡航ミサイルを迎撃できる03式中距離地対空誘導弾を配備し、航空機のレーダーを妨害する対空電子戦部隊を運用するという構想だ。
ここで言う敵国とは、当然“中国”を指す。中国は11月24日の外務省定例会見で、「日本が台湾周辺の南西諸島に攻撃型兵器を配備し、地域の緊張を意図的に高めている」と非難した。
中国の強い反発には、日本の「軍国主義復活」と「軍事拡張」の動きに対する懸念が込められている。しかしその裏には、海洋覇権国家へと台頭しようとする中国を牽制する日本への反発も潜んでいる。馬毛島と与那国島が、大陸から太平洋へ進出する中国を監視し、対応できる最適な位置にあるからだ。
中国はその鬱憤を晴らすかのように、12月5日、空母「遼寧」を率いる艦隊を沖縄海域に接近させ、3日間にわたり沖縄本島を「コ」の字型に取り囲むように航行した。8日には南大東島周辺を「S字」型に移動し、最後に沖ノ鳥島周辺を航行した。
沖ノ鳥島は、東京から1740kmも離れた日本最南端の領土である。実際には西太平洋に位置する小さな環礁にすぎない。全周約10km、東西4.5km、南北1.7kmの規模で、海上に大型ベッドほどの岩2つが約70cm突き出ているだけだ。
日本は1931年、この環礁を自国領として一方的に編入した。1939年には領有権を強化するため観測施設を設置し、1988年にはコンクリートで9平方メートルの人工島まで造成した。それでも沖ノ鳥島が国際的に島として認められなかったため、2013年から4年間で750億円を投じ、埠頭接岸施設を建設した。
こうした日本に強い影響を受けた国が中国だ。中国は日本と同じ方式で、南シナ海で占有した7つの島と環礁を「不沈空母」のような人工島へと変貌させた。馬毛島と同様に、滑走路、格納庫、係留埠頭、居住施設などを建設した点も同じである。
問題は、海洋覇権国家へ成長しようとする中国の戦略が、韓国とも衝突する可能性が高いという点だ。なぜなら中国は、大陸に隣接する海域を内海化しているからである。
中国は南シナ海で「九段線」という論理を掲げ、領有権を主張している。12月9日、米国の外交・安保シンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)は報告書で、「中国が西海暫定措置水域(PMZ)および周辺に設置した16の人工構造物が、将来的に軍事用途で活用される可能性がある」と指摘した。特に「これは中国が南・東シナ海で軍事基地を建設する際に用いた手法だ」と懸念を示した。
現在、中国はPMZ内に、魚類養殖のための養殖場2カ所と、養殖場管理および海洋観測用施設、ブイなど計4カ所を設置している。これは、PMZで恒久的施設の設置を禁じた韓中漁業協定に違反する行為だ。
韓国も、中国が用いる「グレーゾーン戦術」に対し、積極的に対応すべき時点に来ている。
(記事提供=時事ジャーナル)
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