韓国銀行(中央銀行)のイ・チャンヨン総裁が、低出生率の影響で韓国経済がマイナス成長に陥る可能性があるとの懸念を示した。
3月14日、イ総裁は延世大学で開かれた「グローバル持続可能発展フォーラム(GEEF)」の基調演説で、「韓国の2024年の合計特殊出生率は0.75で、2023年(0.72)よりわずかに上昇したが、この水準が続けば、韓国の潜在成長率は2040年代後半に0%台まで低下し、2050年代以降はマイナス成長を避けるのが難しくなるかもしれない」と警告した。
イ総裁は、「現在の韓国の出生率0.75と、経済協力開発機構(OECD)平均の1.4の差がもたらす長期的な影響はまったく異なる」とし、「この出生率の違いが、長期的に経済成長率がプラスを維持できるか、マイナス成長に陥るかを決定する」と強調した。
プラス成長を維持するために必要な出生率は1.4程度だ。人口減少率の差を考慮すると、国内総生産(GDP)成長率には毎年0.4ポイントの差が生じるという。
イ総裁は、「現在の出生率0.75が続いた場合、50年後には現在の58%まで人口が急減し、年間平均人口減少率は-1.1%に達するだろう」とし、「一方で、出生率が1.4に回復すれば、その時点でもプラス成長を維持できる」と付け加えた。
さらに、イノベーションや起業を主導する若年層が減少することで、経済の活力や創造性が低下し、実際の成長率の格差はさらに拡大するとの見解を示した。また、国家債務にも悪影響を及ぼし、50年後にはGDP比の国家債務比率が182%にまで上昇すると予測した。
イ総裁は、韓国の若者が結婚や出産を遅らせたり、諦めたりする主な要因として、激しい競争圧力と雇用・住居・子育ての不安を挙げた。特に、こうした競争や不安を助長する要因として、雇用や私教育が首都圏に集中し、人口が特定地域に偏っている現状を指摘した。
その対策として、「拠点都市の育成」と「地域別比例選抜制」の導入を提案した。韓国の国土面積と人口規模を考慮し、2~6カ所の主要拠点都市に政策支援を集中的に行うべきだと説明した。
「地域別比例選抜制」とは、大学が自主的に入学定員の大部分を地域ごとの学齢人口の比率に基づいて決定する制度を指す。選抜基準や選考方式は大学側が自由に選択できる。
イ総裁は、「地域別比例選抜制は、主要大学の意志さえあれば即座に導入できる」としながらも、「しかし韓国では成績順の選抜こそが最も公平だと考える認識が特に強いため、地域別比例選抜制に対する否定的な世論が依然として存在する」と述べた。
(記事提供=時事ジャーナル)
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