韓国次期大統領選の最有力候補、李在明代表が「中道保守」を掲げて1カ月…効果はあったのか【世論調査分析】

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「我が党は中道保守のポジションを担うべきだ」

【次期大統領候補】李在明、支持率46.9%で断トツ

次期大統領選の最有力候補である最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が、2月19日のYouTubeチャンネルのインタビューで「中道保守論」を掲げてから1カ月が経過した。

李代表はこの間、「相続税の緩和」をはじめとする減税政策はもちろん、「AI(人工知能)・エネルギー政策」においても積極的な主張を展開し、言行を一致させる努力を続けてきた。

こうした李代表の試みは、はたして大統領選の「キャスティングボート」とされる中道保守層の票にどの程度の影響を与えたのだろうか。

李在明の呼びかけは通じたのか

『時事ジャーナル』が、ここ1カ月間の主要世論調査(韓国ギャラップ、リアルメーター)の支持率を分析した結果、李代表の戦略は中道保守層に一定の効果をもたらしていることがわかった。

李在明代表(左)とパク・チャンデ院内代表
(写真=時事ジャーナル)「共に民主党」の李在明代表(左)とパク・チャンデ院内代表

まず、韓国ギャラップの次期大統領候補適任度調査では、2月第2週時点で30%だった李代表の中道層支持率が、31%(2月第3週)→35%(2月第4週)→39%(3月第1週)→39%(3月第2週)と、着実に上昇。李代表が「中道保守論」を掲げてから1カ月で9ポイントも増加した。

また、2週間ごとに大統領選候補の支持率を測定するリアルメーターの調査でも、46.6%(2月第2週)→51.5%(2月第4週)→52.6%(3月第2週)と上昇し、中道層の過半数を李代表が取り込んだ形となった。

一方、同期間において他の候補者は、いずれの調査でも中道層の支持率が1桁を超えることができなかった。拡張性が高いと評価されるオ・セフンソウル市長やハン・ドンフン「国民の力」前代表でさえも例外ではなかった。

特に李代表の戦略は、保守層にも一部影響を及ぼしていることが確認された。

韓国ギャラップの調査では、李代表の保守層支持率は10%(2月第2週)→9%(2月第3週)→9%(2月第4週)→13%(3月第1週)→13%(3月第2週)と推移。「中道保守論」発言直後に一時的に下がったものの、1カ月で再び2桁台の前半に回復した。

リアルメーターの調査でも16.3%(2月第2週)→19.4%(2月第4週)→18.6%(3月第2週)と、同様の傾向が見られた。

この期間、李代表は積極的に「右寄りの議題」を投じ、世論の主導権を握った。李代表が取り上げた「相続税」などの減税政策や、「K-エヌビディア」構想を中心としたAI産業の成長論など、多くのキーワードがオンラインポータルサイトやコミュニティで話題を席巻している。

「国民の力」政策部門の関係者も『時事ジャーナル』に対し、「我々が政策コンテンツを打ち出しても、李代表が発言するのと我々の指導部が発言するのとでは、報道量や影響力に大きな差があり、内部でももどかしさを感じている」と吐露した。

こうした背景から、李代表はここ1カ月間のポータルサイト検索量でも圧倒的1位を記録した。

2月17日~3月17日のNAVERトレンド検索量(「李在明」「キム・ムンス」「オ・セフン」「ハン・ドンフン」「ホン・ジュンピョ」)を分析した結果、李代表は2月20日(「キム・ムンス」が1位)と3月2日(「ハン・ドンフン」が1位)を除くすべての日で1位だった。

もちろん、李代表の「司法リスク」などの弱点も話題の要因ではあるが、「中道保守」戦略による世論喚起が功を奏したとの見方が、専門家の間で広まっている。

全体の支持率は横ばい…打開策は?

「共に民主党」内でも、「支持層拡大」に対する自信が垣間見える反応が出ている。

「共に民主党」戦略チームの関係者は、電話インタビューで「大統領選は、党員を対象とした党大会や地域有権者を対象とした総選挙とは次元が異なる」と述べ、「特に今回の早期大統領選は、期間が非常に短く、突然行われるため、候補者たちも十分な準備ができていない。このような状況では、中道層をモンゴル騎兵のように素早く取り込むことが、本格的な大統領選の局面で勝負をかけるカギとなる」と強調した。

「共に民主党」李在明代表
(写真=時事ジャーナル)「共に民主党」李在明代表

一方、与党内では、支持基盤を奪われつつあることへの反省の声も上がっている。

与党の有力候補であるユ・スンミン元議員は、自身のフェイスブックで李代表の「右寄りの戦略」に言及し、「空き家だからといって、勝手に他人の家に押し入って、あれこれ盗んでいく泥棒を防がなければならない」と批判。「玄関を開けたまま家を出た人間も問題だ。空き巣を防ぎ、中道勢力の中で勝つ戦略を立てるべきだ」と懸念を示した。

しかし、李代表にとっても完全に安心できる状況ではない。実際、「浮動票層」の獲得に集中する一方で、「既存の支持層(進歩・リベラル層)」の一部が離脱していることが確認されたためだ。

韓国ギャラップの調査では、2月第2週時点で73%だった李代表の進歩層支持率は、その後、67%(2月第3週)→67%(2月第4週)→67%(3月第1週)→65%(3月第2週)と、1カ月で8ポイント下落した。

この影響で、李代表の全体支持率も依然として「横ばい状態」にとどまっている。韓国ギャラップの調査では2月第2週から34%→34%→35%→35%→34%と、ほぼ変化がない。一方、リアルメーターの調査では、43.3%(2月第2週)→46.3%(2月第4週)→46.9%(3月第2週)と、わずかに上昇している。

本格的な「早期大統領選モード」に突入すれば、この支持率の動向も急変する可能性がある。

「共に民主党」は、中道保守層を狙った「成長重視」の政策を推進する一方で、党内の伝統的な支持層をなだめるための政策も同時に進める「ツートラック」を展開している。

すでに李代表は、自身の「トレードマーク」とされる「基本社会」政策の実行計画を議論するため、3月12日に基本社会委員会を2年ぶりに再発足させた。

さらに、同日に開催された民生連席会議では「人は左を向くこともあれば、右を見ることもある」と述べ、「我々が『成長』を語るのも、国民のより良い生活のための一つの手段にすぎない。そうしたことを(政治的な対立構図に)巻き込まれないようにしよう」と強調した。

これは、中道層(浮動票層)と進歩層(既存支持層)の両方を引き留める狙いがあると解釈できる。

なお、本記事で引用された韓国ギャラップの各調査の標本誤差は、95%の信頼水準で±3.1ポイント。リアルメーターの調査では、2月第2週の調査は95%の信頼水準で標本誤差±3.1ポイント、2月第4週と3月第2週の調査は95%の信頼水準で標本誤差±2.5ポイントだった。

(記事提供=時事ジャーナル)

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