日本では記念館の開設計画で議論を呼んでいる尹奉吉…韓国では彼の故郷で「のど自慢」大会?日韓で温度差

2025年03月31日 国際 #歴史問題
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日本では、1932年に日本軍の要人を含む多数の死傷者を出す事件を起こした尹奉吉(ユン・ボンギル)の追悼記念館が石川県金沢市に開館されることが議論となっているが、韓国ではその人物にちなんだ、まったく別のイベントが開催される。

【注目】「日本は本当に過去を反省しない」尹奉吉記念館

韓国の忠清南道・礼山(イェサン)郡は、来る4月26日午後、尹奉吉の故郷である忠義祠(チュンウィサ)駐車場の特設ステージで、「第52回尹奉吉平和祝祭」を記念して、KBS 1TVの『全国のど自慢』を開催すると発表した。

ただ雨天の場合、尹奉吉体育館で撮影が行われるという。

KBSの『全国のど自慢』は、1980年に放送開始された人気長寿番組。全国各地を巡回しながら視聴者が参加して歌声を披露し、番組の終わりに最優秀賞や優秀賞などが発表される。今回の「礼山郡編」には、ヒョンスク、ソ・ジオ、キム・ヒジェ、ユン・テファ、オ・ユジンなどが招待歌手として特別出演する。

礼山郡のチェ・ジェグ郡守は、「尹奉吉平和祝祭を記念して開催される今回の『全国のど自慢』が尹義士の愛国精神を改めて振り返る機会となり、郡民の皆さん全員が心を一つにして和合する場となることを願う」と語った。

第52回尹奉吉平和祝祭記念『全国のど自慢』
(画像=礼山郡)第52回尹奉吉平和祝祭記念『全国のど自慢』

日本に記念館が開設される?

「平和祝祭」「歌自慢」といったワードからも伝わるように、尹奉吉は、日本ではテロリストの評価だが、韓国では英雄という扱いだ。

そもそも尹奉吉は、朝鮮半島が日本の植民地だった1932年4月29日(天皇誕生日)、上海の日本人街にある虹口公園で行われた祝賀式典会場に侵入し、爆弾を投げて日本軍の要人2人などを殺害した人物として知られている。

この爆発で、後に外相となる重光葵が右足を失うなど、多数の死傷者が出ている。

その場で取り押さえられた尹奉吉は、同年5月、日本の軍法会議で死刑判決を受けた。その後、11月に大阪へ護送され、12月18日に石川県金沢の第9師団司令部拘禁所に移送された。

ここで一夜を過ごした後、石川県の日本軍工兵作業場で銃殺刑に処され、わずか24歳で短い生涯を終えた。

尹奉吉
(写真=独立記念館)尹奉吉

日本の初代首相である伊藤博文を殺害した安重根(アン・ジュングン)のように、日本と因縁深い人物といえる。

そんな彼が日本で再び注目を集めるようになったのは、今年1月、韓国KBSの元客員研究員キム・グァンマン氏が、韓国メディア『聯合ニュース』を通じて、尹奉吉が日本軍に爆弾を投げたとされる4月29日に合わせ、殉国の地・金沢市で追悼記念館の開館を推進していると伝えたことがきっかけだった。

以降、日本では一部の団体が抗議活動を行い、3月2日には軽自動車が「在日本大韓民国民団」の石川県地方本部の建物の壁に突っ込む事件も発生した。

3月には、「NHKから国民を守る党」の浜田聡参院議員が尹奉吉記念館について、「やはり日本国内で日本人を殺したテロリストを追悼するような記念館ができるのは感情的に受け入れられるものではない」と語ったことも話題になった。

韓国で「英雄」として称えられる尹奉吉をめぐる評価は、日韓間の歴史認識の深い隔たりを改めて浮き彫りにしている。記念館の開設計画が、両国の新たな火種とならないことを願いたい。

(文=サーチコリアニュース編集部O)

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