2018年2月に開催された平昌(ピョンチャン)冬季五輪。韓国にとっては1988年ソウル五輪以来のオリンピックで、冬季五輪としては4度目の立候補でようやく掴んだ初開催だが、その平昌五輪を韓国の人々はどう評価したのか。
韓国ギャロップ社が大会閉幕後の2018年2月27日から28日の2日間にかけて、成人男女1008人を対象に実施した調査によると、韓国人が今回の平昌五輪で「最も興味深く見た種目」の1位に選ばれたのは、カーリングだったという。
調査は1人2種目まで自由に選べたが、お家芸としてもともと人気があるスピードスケート(29%)やショートトラック(26%)を差し置いて、カーリングが堂々の1位。70%にも達したという。
カーリングが選ばれたのは、“チーム・キム”と呼ばれたカーリング女子韓国代表の大躍進があったからだろう。カーリング女子日本代表の“ロコ・ソラーレ”との激闘は、韓国で大いに盛り上がった。その人気ぶりは世論調査でもはっきり表れたといえるだろう。
「韓国代表選手で最も印象的だった選手は?」という設問でも、カーリング勢が人気だ。
同じく1人が2選手まで自由に選べるこの設問では、“衣裳はだけ美女”として話題となったフィギュアスケート・アイスダンスのミン・ユラなども選ばれたが、主にメダリストが大半を占めた。
1位になったのは、スピードスケート男子マススタートで金メダルに輝いたイ・スンフン(30%)、2位は男子スケルトンで金メダルに輝いたユン・ソンビン(27%)、3位はカーリングの“メガネ先輩”ことキム・ウンジョン(25%)だった。
その“メガネ先輩”が「ヨンミー!!」と呼んで一躍流行語になったキム・ヨンミと女子カーリング代表チームが、女子スピードスケートのイ・サンファ、女子ショートトラックのチェ・ミンジョンと12%で肩を並べて4位に。
つまり、世論調査参加者の49%が女子カーリングを挙げたことになる。
このほか、カーリングは「今回のオリンピックで新しく関心を持った種目」でも1位(55%)になっているが、前述した通り、韓国のカーリング人気は準決勝で戦った日本女子カーリング代表の存在があったことも大きい。
現場で取材していた記者によると、「ライバルがいてこそ盛り上がる。韓国のカーリング人気は藤澤五月と日本という“美しいライバル”がいたからこそ、余計に盛り上がった」と、大韓体育会関係者も語っていたという。
その大韓体育会関係者たちが何よりもホッと一安心させたのは、平昌五輪に対する国民たちの評価が概ね良好だったことだとか。
というのも、大韓体育会が大会前に掲げていた当初の目標は、金8・銀4・銅8のメダル獲得で総合順位4位へのランクインだったが、実際には金5・銀8・銅4の総合7位だった。
それでも韓国選手団の成績について問うたギャラップ社の調査では、「期待通りの結果」が28%、「期待以上の結果」が63%と高かったのだ。「期待以下」としたのは6%に過ぎなかった。
当初の目標設定を下回っても高い評価を得られたのは、韓国が得意とするショートトラックやスピードスケートだけではなく、男子スケルトンやスキーの男子パラレル大回転といった、これまで韓国が苦手としてきたソリ競技や雪上競技で韓国初のメダリストが生まれたことも、無関係ではないだろう。
そんなこともあって、アンケート参加者の84%が「平昌五輪は成功的だった」と評価している。
韓国ギャラップ社の調査といえば、大会前の調査で「オリンピックにあまり関心がない」(20%)、「まったく関心がない」(8%)という意見も明らかになっていたが、選手たちの発奮と健闘が国民から支持され高い評価を得たのだろう。
もっとも平昌五輪は、様々な問題を浮き彫りした大会でもあった。
「成功的ではなかった」と回答した人々の理由にも、「対北関係や北朝鮮に利用された」(20%)、「運営の損失/収益不足」(16%)、「南北単一(合同)チーム結成」(15%)などが挙げられた。
「国民の関心不足/興行としての失敗」「観覧・宿泊料金が高い」「外交ばかりに重点/政治的利用」「選手管理がなっていなかった。選手団内の葛藤」などを指摘する声もあったということも、付け加えておこう。
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