韓国ではユーチューバーよりも人気がある「暇つぶし最強コンテンツ」とは?

2021年11月16日 話題 #ビジネス #サブカル
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日本の通勤電車内の風景が変わったといわれて久しい。

かつては満員電車の中でも新聞や雑誌を広げるサラリーマンの姿をよく見かけたが、最近はほとんどの人がスマホでニュースを読んだり、ゲームをしたりしている。

そうした光景は韓国でもあまり変わらないが、日本と異なる点もある。韓国では、スマホで「ウェブトゥーンを読む」ことを通勤中の楽しみにしている人が増えているのだ。

「ウェブトゥーン(Webtoon)」とは、WebとCartoon(漫画)を組み合わせた造語で、ウェブ上で読める漫画のことをいう。

ただ、一般的な漫画とは違ってページ割りがなく、縦スクロール形式とフルカラーが基本だ。

PCとスマホで読むことに適しており、「暇つぶしになんとなく読み始めたらハマった」という人が続出。韓国のウェブトゥーン・ユーザーは約791万人(2015年)で、バスや電車の中で若者の3~4人に1人がウェブトゥーンを読んでいるといわれるほどだ。
【関連】日本の漫画とは違う…!? ここ数年で急成長した韓国ウェブトゥーン業界の事情

ウェブトゥーンの開拓者は、今やウェブトゥーン界の御所作家となったカン・フル氏だ。多くの漫画雑誌社に履歴書を持ち込んでも本格的に漫画を勉強したことがないという理由でことごとく断られ、2002年に個人ホームページを立ち上げて日常系漫画を掲載した。

それがネットユーザーたちの間で好評を博し、その後は『純情漫画』『アパート』『隣人』のようなストーリー漫画をWebに最適な方法で描き続けている。

売れれば莫大な収入が手に入る

現在、韓国でウェブトゥーン・サービスを提供しているプラットフォームはポータルサイトのNAVERやDaumをはじめ、40カ所に及ぶ。

ここ数年でウェブトゥーン専門サイトも続々と登場した。

その代表格とも言える「LEZHIN COMICS(レジン・コミックス)」は19禁(数え歳で19歳以下禁止)の成人向けウェブトゥーンで売上成績を爆発的に伸ばし、今や日本に進出するほどメジャーになった。。

もちろん、作家たちも作品が人気を得れば莫大な収入を手にする。

フジテレビ系で放映されたドラマ『HOPE~期待ゼロの新入社員~』(フジテレビ系)を覚えているだろうか。

同ドラマが韓国の大ヒットドラマ『ミセン(未生)』のリメイクで、韓国でも賛否両論があったことは以前紹介したが、実はこのドラマ、ユン・テホ氏の同名ウェブトゥーンが原作となっている。

イ・ビョンホン主演の映画『インサイダーズ/内部者たち』も、ユン氏のウェブトゥーンが原作だ。

ユン氏は『ミセン』の単行本印税だけで20億ウォン(約2億円)以上を稼いだが、作品の映像化による著作権収入などを合わせると、年間数十億ウォンに上ると推測されている。

日本では小学校を対象に将来の夢を聞いたところ、「ユーチューバー(YouTuber)」が上位にランクインすると聞くが、韓国の小学生に同じようなアンケートを実施すれば、「ウェブトゥーン作家」が1位になったりもする。

昔は漫画家が「食べていけない職業」といわれていたことを考えると、時代の変化を感じざるを得ない。

作品さえ面白ければ作家の年齢や性別はもちろん、国籍も気にしないのがウェブトゥーンの世界。実際のところ、韓国人夫との結婚生活を描いた『寿司男・キムチ女』で賛否呼んだ日本人女性ウェブトゥーン作家もいる。

いずれにしても、韓国は国ぐるみで“ウェブトゥーンの世界進出”に動き出している。韓国にはウェブトゥーンが「10年後の韓流の核心」という人もいる。漫画大国・日本で、ウェブトゥーンは新たな韓流ブームの中心になれるか。今後を見守りたい。

文=慎 武宏

*この原稿はヤフーニュース個人に掲載した記事を加筆・修正したものです。
 

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