一見、華やかに見える韓国芸能界だが、その裏ではさまざまなパワハラの事例が問題視されている。
近年では、ハラスメントに対する「#Me Too」運動がSNSなどを通じて広まったことで、隠されてきた問題を告発する被害者の数も増加。これに伴い芸能人のハラスメント疑惑も続々と浮上している。
ここでは前回のアイドルに続き、俳優・女優に関するパワハラを紹介していく。
Netflixで配信された大人気ドラマ『サイコだけど大丈夫』で、美しくも破天荒な絵本作家コ・ムニョンを演じた女優ソ・イェジは2021年4月にパワハラ疑惑が浮上した。
当時、あるオンラインコミュニティで、「過去にソ・イェジと仕事をした」と主張するA氏がソ・イェジのパワハラ疑惑を提起したことで論争が巻き起こったのだ。
A氏は「ソ・イェジにたくさんの暴言を吐かれた。彼女は移動中の車内でも常に喫煙しており、私はタバコのおつかいまでさせられた。挙句の果てにはミスをするとタバコの煙を吐きながら叱られ、人間以下のような扱いを受けた」と告白。衝撃的な内容にネット上では驚きの声が相次いだ。
ソ・イェジにはそのほかにも、元恋人で俳優のキム・ジョンヒョンへのガスライティング(gaslighting、巧妙な言動で相手を洗脳する心理的虐待の一種)、学歴詐称など、連日のように新たな疑惑が浮上。『サイコだけど大丈夫』がヒットし、スターダムを駆け上がると思われた矢先の出来事で、最終的にCMや新作ドラマの出演オファーがすべて“白紙撤回”となってしまった。
もっとも、ソ・イェジはパワハラ疑惑について沈黙を貫いていたが、約1年が経った今年2月に、一連の議論に対する正式な謝罪を伝えている。6月にはtvNドラマ『イブ』で復帰を果たしたが、世間の目は依然として厳しいままだ。
韓国の若手俳優の登竜門的ドラマ“学校シリーズ”第5弾『ゆれながら咲く花』で俳優デビューを果たし、時代劇『新米史官ク・ヘリョン』『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』などに出演した俳優イ・ジフンもパワハラ疑惑に包まれたことがある。
2020年11月、イ・ジフンとその知人が、ドラマの撮影現場でスタッフに暴言やパワハラを行ったとの疑惑が浮上したのだ。暴露したB氏は、「知人が暴力団員なのか、近所のヤンキーなのかは知らないが、現場に来て脅迫するのは間違っている」などと主張していた。
これを受けてイ・ジフンの所属事務所は、「イ・ジフンが当日、謝罪をすぐに試みたが円満に解決できず残念。イ・ジフンと知人がドラマ撮影場でスタッフと対立したが、お互いに対する誤解から起きたことだった。イ・ジフンはより賢明な行動が取れなかったこと、知人とスタッフとの摩擦について深く反省している」と公式発表を通じて謝罪した。
また、イ・ジフンも自身のSNSを通じて「数日間、大変心配をおかけしました。多くの誤解による非難の矢が、誰に向けられることも願っていないため、この文章を書くことにしました。いくつかの誤解は直接会って話し合いで解くことにします。すべての現場のスタッフの方々、キャストの方々と最善を尽くしてドラマを作っていきます」と反省の意を伝えていた。
韓国では重鎮として知られる俳優イ・スンジェも、パワハラ疑惑によって、長年のキャリアに傷がついてしまった。
その発端となったのが、2020年6月29日に韓国のニュース番組『8ニュース』が伝えた「イ・スンジェのマネージャーが、不当解雇された」という報道だった。
当時、イ・スンジェのマネージャーとして働いていたC氏は「イ・スンジェだけでなくその家族の雑用まで引き受け、召し使いのような生活をしていた。医療保険や、雇用保険もなしに月180万ウォン(約18万円)で週当たり平均55時間働き、反発したら不当解雇された」と主張。国民的ベテラン俳優の衝撃のパワハラには大きな波紋が広がった。
所属事務所のエスジーウェイエンターテインメントは初めこそ疑惑を全面否定。「多くの部分が事実とは異なって歪曲されており、偏って報じられている。これまで積み上げてきたイ・スンジェの名誉を大きく傷つけた」と法的対応まで示唆したものの、告発から2日後の公式立場では一転、保険未加入やマネージャーの仕事が公私混同している部分を認め、謝罪した。
その後、イ・スンジェ本人も「不徳の致すところであったと認めます。先日、元マネージャーと電話で話をし、話を十分に聞いて、共感し、謝罪の気持ちを伝えました。元マネージャーがメディアで語ったことは正しく、心より謝罪いたします」と反省の意を伝えていた。
従来の俳優や女優といえば、華やかなルックスや演技力、存在感などが重視されてきた。だが、SNSが普及している昨今においては、その人格までもが人々の手本となるよう求められているようだ。
(文=サーチコリアニュース編集部A)
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