文在寅(ムン・ジェイン)前政権時代に脱北した漁民の強制送還事件に関与した人物たちが、第1審で「宣告猶予」の判決を受けた。
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宣告猶予とは、被告の容疑は有罪が認められるものの、その罪の程度が軽いと判断された場合に刑の言い渡しを一定期間保留し、その期間が経過すれば免訴となる制度のことだ。
2月19日、ソウル中央地裁刑事合議21部(ホ・ギョンム部長判事)は、チョン・ウィヨン元国家安保室長とソ・フン元国家情報院長に対して、懲役10カ月の宣告猶予を言い渡した。彼らが起訴されてから約2年が経過しての判決となった。
また、一緒に起訴されたノ・ヨンミン元大統領秘書室長とキム・ヨンチョル元統一部長官には、それぞれ懲役6カ月の宣告猶予が言い渡された。
裁判部は「凶悪な犯罪をしたという自白だけを根拠に、慎重な法的検討が求められるにもかかわらず、迅速性ばかりを過度に強調した結果、拿捕から2日後に送還を決定し、わずか5日後に実際に送還した」と指摘した。
一方で、「南北分断以降、形成された対立意識から抜け出せない状況で多くの制度が構築され、今回のような事案に適用する法律や指針はまったく整備されていなかった」とし、「制度の改善が最優先であるにもかかわらず、それを怠った状態で、その業務を担当した人々だけを処罰するのは適切なのかという疑問がある」との見解を示した。
また、「被告らに対して懲役刑や執行猶予を言い渡すよりも、宣告猶予を選択することで、彼らの行為が違法であったことを確認しつつも、実質的な不利益は与えないという判断が最も合理的な量刑だと考えた」と説明した。
「脱北漁民強制送還事件」は、2019年11月に韓国に渡ってきた北朝鮮の漁民2人が亡命の意思を表明していたにもかかわらず、北朝鮮に強制送還された事件だ。
当時、韓国軍は北方限界線(NLL)付近の海上で漁民2人を拿捕し、5日後に殺人などの重大な非政治的犯罪をしたとして保護対象ではないと判断し、追放した。
この漁民たちは、東海(=日本海)上で漁船に同乗していた16人の乗組員を殺害し、逃走していたことが明らかになった。
チョン元室長らは、脱北漁民を北朝鮮に送還する過程で職権を乱用したとして、2023年3月に在宅起訴された。また、脱北漁民が韓国内の法律と手続きに従って裁判を受ける権利を行使できないように妨害した容疑もかけられている。
2023年4月に始まった「脱北漁民強制送還事件」の裁判は、国家安保に関わる機密を理由に、ほとんどの審理が非公開で進められた。
(記事提供=時事ジャーナル)
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