夜は両親の寝床を準備し、朝には両親のご機嫌を伺う。そんな儒教の教えを「親孝行」と思ってきた韓国。しかし、「成人したら自立」が普通になっている現代社会において、それはもう古臭い話にしか聞こえない。
最近の韓国の若者たちが考える「親孝行」は何だろう。「大学naeil(ネイル)20代研究所」は、20代の若者530人を対象にアンケートを実施。親孝行に対する若者の意識を調べた。
「親孝行とは何か」という質問に対し、圧倒的に多かった回答は「親と持続的に交流すること」(58.9%)。
そして「親を扶養すること」(18.7%)、「経済的自立」(9.2%)、「私生活を尊重する」(8.3%)、「親の希望を叶える」(2.6%)が続く。
定期的な里帰りはもちろん、こまめに連絡を取り合うことが親孝行になる、というのはいかにも現代っぽい発想だ。一昔前に常識と思われた「親を扶養する」「経済的自立」などに対する意識がだいぶ低いことも目を引く。
「親としたい交流活動」として1位に選ばれたのは「国内・海外旅行」(49.2%)で、2位は「共通の趣味を持つ」(15.6%)、3位は「定期的な食事会」(12.6%)だった。
家族間の絆を深めるのに、旅行ほどいい方法はないらしい。特に海外は「親にとって大切な思い出と自慢話になります」(29歳、男性)。
自分が親孝行をしていると感じる瞬間はいつか。
回答として挙げられたのは、「自分のことを自力で解決したとき」(17.6%)、「自分から連絡・会話したとき」(17.0%)、「自力で生活費を稼いだとき」(13.9%)、「休みを一緒に過ごしたとき」(13.1%)、「親にお小遣いをあげたとき」(11.9%)など。
一方で、親不孝をしていると感じる瞬間は「経済的な負担をかけたとき」(22.8%)が最も多く、「自分のことを自力で解決できなかったとき」(17.0%)、「経済的に助けてあげられなかったとき」(13.7%)、「自分から連絡できなかったとき」(13.6%)だった。
親の老後については「自己責任」という意見が多い。
「親の扶養は誰が負担すべきか」という質問に対し、38.9%が「親」、32.8%が「子ども」、28.3%が「国」と答えた。
同アンケート結果について、ソウル女子大学社会福祉学科のチョン・ジェフン教授はこう分析する。
「伝統的な扶養に対する概念がなくなり、主に情緒的な交流が挙げられている。これは、経済的に親を養うことができない若者が選んだ次善策。また、家族より国が責任を持つべきだという認識が働いた結果ではないか」
時代とともに親孝行の方法が変わるのは当たり前だ。ただ、親に対する感謝の気持ちだけは、ずっと守り続けたい。
前へ
次へ