かつて全校生徒5000人を誇った名門も今年の新入生は1人に…少子化・韓国で地方から進む“小学校の消滅”

2025年03月05日 社会 #時事ジャーナル
このエントリーをはてなブックマークに追加

少子化と学齢人口の減少により、韓国・全羅南道にある小学校32校で今年、新入生がいないため入学式が行われなかった。

【注目】「韓国の人口は3分の1に」イーロン・マスクが持論

全羅南道全域で学生数の減少が進んでおり、新入生がまったくいない学校の数も毎年増加している。100年以上の伝統を持つ学校や、大都市・光州(クァンジュ)も例外ではない。

生徒がいないために閉校する時代が目前に迫っている。

日本統治時代の1907年に開校した光州の名門・中央小学校も、都心の過疎化の影響を直接受け、今年の新入生はわずか1人にとどまった。

80年代は全校生徒5000人→現在は新入生1人

3月4日午前、光州市東区にある中央小学校の1年生の教室では、今年の新入生が1人しかいないため、「1人きりの入学式」が行われた。

光州中央小学校
(写真=時事ジャーナル)1980年代には5000人が通っていた光州中央小学校

入学式には、新入生のA君とその両親、ペ・チャンホ校長、教員などの学校関係者が出席した。A君を励ますために、祖父母からの応援メッセージ動画が紹介されるなど、「1人きりの入学式」は温かい雰囲気のなかで執り行われた。

中央小学校には昨年、新入生3人が入学したが、今年はA君1人だけとなった。当初、A君とともに入学予定だった2人は近隣の別の小学校に入学し、最終的にA君1人だけが入学することになった。ただし、A君の姉がこの学校の6年生であるため、登下校は一緒にできるという。

A君は、国語などの必修科目の授業は先生と1対1で行い、芸術・体育の授業は2年生の児童と一緒に受ける形となる。

1907年に創立された中央小学校は現在、全校生徒23人、教員は校長を含めて9人しかいない。今年から全校生徒が30人以下の学校には教頭を配置できなくなったため、教員数は今後さらに減る可能性がある。

中央小学校の衰退は、ある意味で予測されていた事態だった。

かつて光州最大の繁華街・錦南路(クムナムロ)近くに位置し、1970~1980年代には90以上の学級を持ち、学生数が5000人を超える大規模な小学校だった。しかし2000年代に入ると、人口減少と過疎化の影響を直接受け、生徒数が急減した。

特に、光州の郊外に新都市が造成されるにつれ、旧市街地から人口が急激に流出し、中央小学校を含む旧市街地のいくつかの小学校は閉校の危機に直面している。

光州市の学齢人口は、ついに1万人を下回った。

全羅南道のとある小学校の下駄箱
(写真=時事ジャーナル)全羅南道のとある小学校の下駄箱

光州市教育庁・全羅南道教育庁の2023~2025年度の小学校学級編成計画によると、光州市の今年の小学校入学者数は9969人で、前年より1423人減少した。光州の小学校新入生の数は、2023年度に1万2538人、2024年度に1万945人と、毎年1000人以上ずつ減少している。

貧者はさらに貧しく、富者はさらに富む

光州地域の小学校155校のうち、新入生が10人に満たない「極小規模校」は今年9校に達した。

新入生の数が15人に満たない小学校も17校にのぼる。光州地域の小学校の1クラスあたりの平均生徒数は20.4人だ。

一方で、全校生徒数が4年前に比べて4倍に増えた学校もある。光州ヒョドン小学校は2021年には全校生徒が約290人だったが、今年は約1100人と、4年間で4倍近く増加した。周辺の住宅地が再開発され、学生数が急増したためだ。

光州には現在、再開発・再建築が予定されている地域が19カ所あり、大規模な開発が続くことで、しばらくの間、地域間の学校の偏在は続くとみられる。

光州市教育庁の関係者は「光州では旧市街地や農村地域の学校では生徒数が減少し、大規模宅地開発地域では逆に生徒の過密化が進んでいる」とし、「小規模校が増えるなかで、教育課程の運営に支障が出ないよう、個別対応の教育提供など教育力の向上に努めていく」と述べた。

農漁村地域が多い全羅南道では、さらに深刻な状況となっている。少子化の影響で学齢人口が減少し、全羅南道の小学校の新入生数は急激な減少傾向を示している。

海南(ヘナム)郡にあるウスヨン小学校は、僧侶・法頂(俗名:パク・ジェチョル)の母校として知られる歴史ある学校で、今年で開校107周年を迎える。1970~80年代には全校生徒数が1500人に達し、1クラスの生徒数が60人を超えることも珍しくなく、午前と午後に分けて登校するほどだった。

しかし、この学校も農村人口の減少による学齢人口の枯渇に直面している。昨年の在校生は78人(2024年末時点)だったが、今年の新学期は54人で始まった。新入生は3人いたが、6年生21人が卒業するため、生徒数が大幅に減少することになる。

当初、就学通知を受けた4人のうち1人は近隣都市の別の小学校に進学し、最終的に3人のみが入学した。学校関係者は、学期の途中でさらに何人かの生徒が木浦(モクポ)など都市部へ転校する可能性があるとして、不安を隠せなかった。

開校100周年記念碑が建てられているウスヨン小学校
(写真=時事ジャーナル)開校100周年記念碑が建てられているウスヨン小学校

学校が消える…全羅南道で今年10校が廃校予定

この状況は特定の学校に限った問題ではない。全羅南道では、毎年1000人以上ずつ小学校の入学予定児童数が減少している。全羅南道教育庁によると、今年の小学校入学予定児童数は1万108人で、過去最低を記録した。

前年より1047人減少しており、2023年の1万2881人、2024年の1万1155人から、毎年1000人以上減少している。入学予定者が1000人以上の地域は、木浦(1396人)、順天(1933人)、麗水(1631人)、光陽(1073人)の4市だけだった。

さらに深刻なのは、全羅南道内の小学校32校で新入生が1人もおらず、入学式が開催できなかったことだ。

最近、国会教育委員会所属のチン・ソンミ議員(共に民主党)が教育部から受け取った「新入生ゼロの小学校リスト(2024年4月基準)」によると、麗水のアニル、トルサン、ファジョン小学校、宝城のユロ、ボンネ小学校、長興のチャンドゥン、プサン小学校など計32校で新入生がゼロだった。

麗水では本校3校と分校4校の計7校が新入生ゼロとなり、最も多い地域だった。宝城では本校4校、珍島では本校と分校がそれぞれ2校ずつだった。新入生が10人未満の極小規模校も多く、全458校のうち270校(休校中の13校を除くと61%)が該当する。

郡地域の状況はさらに深刻だ。求礼郡では10校中8校(80%)、高興郡では19校中17校(89%)、長興郡では14校中12校(86%)、康津郡では13校中12校(92%)、珍島郡では14校中12校(86%)、新安郡では21校中20校(95%)の学校で、新入生が10人未満だった。

全羅南道教育庁の運営指針によると、3年間新入生がいない場合、地域の意見を集約し、廃校手続きに入る。現在、2年連続で新入生ゼロの学校は17校にのぼる。チン議員が教育部から受け取った「全国17の市・道教育庁の廃校リスト」によると、今年、全羅南道では10校が廃校予定となっている。

政府の全国地方消滅リスク調査の結果、全羅南道は消滅危機地域に分類された。全国288の市・郡の人口変動調査によると、消滅リスクが高い59地域のうち13地域が全羅南道に含まれていた。

地域消滅の危機が深まるなか、学齢人口の減少も加速している。

全羅南道の小学校入学者数を過去5年間で見ると、2000人以上の減少が確認された。市単位の5地域のうち、4地域では1000人台を維持したが、羅州市では897人に減少した。この傾向は一時的なものではなく、長期的かつ構造的な問題として捉える必要がある。

実際、学齢人口の減少はすでに予測されていた。統計庁によると、1980年には86万人だった出生数が、2010年には47万人と30年間で半減した。さらに、少子化に加えて就職などを理由とした人口流出が進み、学齢人口の減少が地域の悪循環を引き起こしている。

小学生の数が減ることで、学校の魅力が低下し、保護者が転居し、さらに生徒数が減少するという悪循環が発生する。このような状況では、学習効果の低下に加え、多様な教育プログラムの運営も難しくなる。

学校の統廃合が進むことで教員の数も減少し、学習権の侵害が懸念される。学生数の減少により教員の定員削減が避けられず、一部の地域では専門教員の配置が難しくなり、一部の科目が専任教員なしで運営される可能性も指摘されている。

根本的な解決策は国家レベルで出生率を上げることだ。しかし、現状を考えるとこれは容易ではない。そのため、全羅南道に保護者と学生を引きつけるための教育競争力を強化する方策を模索する必要があるとの指摘が出ている。

学生数減少への対策「教育力の強化」

全羅南道教育庁は、学生数減少対策の一環として「小規模校」と「農山漁村留学」制度を推進している。

和順郡の農山漁村留学コミュニティセンター
(写真=時事ジャーナル)和順郡の農山漁村留学コミュニティセンター

小規模校は生徒数が60人以下の学校を指し、放課後教育や地域に特化した体験プログラムを強化し、教育満足度を向上させる取り組みが行われている。小規模小学校が増えるなかで、地域特化型の教育プログラムが、学校教育の一環として学生数減少への対応策として注目されている。

特に、全国で初めて導入された農山漁村留学は、数値的な効果を示している。

この制度は、全羅南道外に住む学生が同地域の学校へ転校し、6カ月以上の教育を受けるプログラムで、2024年は累計で304人が申し込み、そのうち20%が3年以上の長期滞在を選択した。今年の第1学期の農山漁村留学生の受け入れ人数は80人となっている。

全羅南道教育庁のパク・ソヨン教育自治課指導官は「地方自治体と連携し、学齢人口を増やすための対策を模索し、様々な方法で努力している」としながらも、「全体的な少子化や地方消滅の危機、人口減少によって学齢人口を確保するのが非常に難しい」と困難な現状を明かした。

ある教育専門家は次のように語る。

「全羅南道教育庁は、新入生に対する教育手当を支給し、農山漁村の生徒たちの学習権の確保に努めているが、少子化と首都圏集中化の影響が重なり、今後も学校の閉鎖は続くと予想される。学齢人口の減少問題は、結局のところ、地域人口の減少と直結している。したがって、教育問題を解決するためには、より広範な政策的アプローチが必要だ。

移住支援政策を強化し、教育インフラを改善することで、若い世帯が地方に移住する流れを促進しなければならない。また、教育の質を向上させるために、教育当局の切実な努力が求められる」

(記事提供=時事ジャーナル)

日本を「地獄」と叩いた韓国歌手、日本公演へ…その“二枚舌”を意外な人物が痛烈批判

「女学生は勉強より出産のほうが重要。10代で産むべき」韓国有名予備校の会長が物議

「これこそが少子化対策」出産するたびに“1人1000万円”を支給する韓国企業が話題

前へ

1 / 1

次へ

RELATION関連記事

デイリーランキングRANKING

世論調査Public Opinion

注目リサーチFeatured Research