社員が子どもを出産するたびに、1人1億ウォン(約1050万円)の出産奨励金を支給する――。そんな破格の制度を実践する韓国企業が話題になっている。
住宅事業などを手掛ける富栄(プヨン)グループがその中心だ。
富栄グループは2月5日、ソウル中区で2025年の始務式を開催し、昨年出産した社員に総額28億ウォン(約2億9480万円)を支給したと明らかにした。
富栄グループの出産奨励金制度は、少子化問題の解決を目的としてイ・ジュングン会長が2024年に導入したものだ。制度施行初年度であった昨年は、2021~2023年に子どもを出産した社員に対して総額70億ウォン(約7億3690万円)が支給された。
この恩恵を受けた社員は年間平均23人だ。
富栄グループは、昨年はこれより5人多い28人の子どもが生まれたことから、出産奨励金が少子化問題の解消に効果を上げていると評価している。
イ会長は「少子化問題が続けば、20年後には国家の存立危機に直面すると見ており、その解決策として出産奨励金を支給することにした。我々がそのきっかけとなり、今後多くの企業が自発的に出産を支援するようになればうれしい」と述べた。
韓国の少子化は、日本以上に深刻だ。1人の女性が産む子どもの数の指標となる出生率は、日本が1.20(2023年)に対し、韓国は0.72(同)と極端に低い。
そのため韓国では2020年からは死亡数が出生数を上回る「人口の自然減」が始まっており、昨年、初めて「超高齢社会」(65歳以上の人口割合が20%以上)に突入した。
高齢社会(65歳以上の人口割合が14%以上)から超高齢社会への移行期間も、日本は12年、韓国は7年となっており、その速さが際立っている。
少子化問題の解決には一刻の猶予もない状況だ。
それだけに富栄グループの取り組みは、大きな注目を集めている。オンライン上では「これこそが少子化対策だ」「かつてある政治家が“出産したら1億ウォン”と公約して笑い飛ばされていたが、正しかった」「少子化対策の予算が女性団体や独身女性の支援などに使われている現状では最高の策」「静かな愛国で素晴らしい」と、称賛する反応が続いた。
富栄グループの「1人1億ウォン」出産奨励金制度が功を奏しているなか、他の企業もこれに続くのか注目される。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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