「反対する人はスパイか?」コメント投稿者の“国籍表示”の義務化、韓国で議論に…海外からの書き込みに危機感

2025年03月10日 社会
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現在、リベラルと保守の対立が深刻な社会問題となっている韓国で、注目すべき法案が発議された。

【韓国】最も深刻な対立は「リベラルと保守」4点満点中3.52点

それは、オンライン上のコメント投稿者の国籍と接続位置の表示を義務化する「コメント欄への国籍表示法」だ。

法曹界によると、与党「国民の力」のナ・ギョンウォン議員を含む34人が、2月26日にこの法案を発議したという。

ナ議員は昨年9月の時点で、この「コメント欄への国籍表示法」について、「法改正を通じて国内のサイバースペースの透明性を強化し、海外からの世論操作を効果的に防ぐことができる」と期待を示していた。

この法案は、主に中国発のコメント操作問題に対応する狙いがある。「国民の力」は同年11月、「中国ネットユーザーによるコメント世論操作が深刻だ」とし、「プラットフォーム企業に対し、対策を強く求める」と発表していた。

ナ・ギョンウォン議員
(写真=ナ・ギョンウォン議員Instagram)

技術的な問題が?

ただ、韓国では過去にも同様の法案が提出されてきたものの、一度も成立していない。過度な規制という批判もあるが、それ以前に技術的な限界があるためだ。

というのも、この法案はポータルサイトに対し、コメント投稿者の接続国やVPN(仮想プライベートネットワーク)を使用して迂回接続したかどうかを表示するよう義務付けるものだ。

しかしVPNを使用した迂回接続の有無を正確に把握することは不可能に近く、迂回接続の有無を除外して単に国籍のみを表示する場合、コメント投稿者が国籍を偽ることが可能となり、むしろ悪用される恐れがある。

つまり、現時点では技術的に実現が困難な法案なのだ。

それでも、このニュースが報じられると、コメント欄には賛成の声が多く寄せられた。「コメントに国籍が表示されて困るのは誰か」「中国人がなぜ韓国のポータルサイトでコメントを書いているのか」「今すぐ実施すべき」「国籍表示に反対する人はスパイなのか?」といった意見が目立った。

ポータルサイト「NEVER」のコメント欄
(画像=NAVER)ポータルサイト「NEVER」のコメント欄

実際、コメント欄の問題点を指摘する声は政界だけでなく、市民の間からも上がっている。

国民の様々な声を集める韓国の「国会電子請願」には、「ポータルサイトのコメント投稿時、VPN使用の全面遮断および国籍表記義務化を求める請願」が提出されている。

その趣旨は、議員らが発議したものと似ているが、こちらは「ポータルサイトにおいてVPNを利用したコメント投稿を全面的に遮断する」という点が異なる。たしかに、そもそもVPN経由のアクセスでは書き込めないようにすれば、前述した“技術的な問題”の多くは解消されるだろう。

国民同意請願は公開後、30日以内に5万人の同意を得れば国会委員会に付託される。該当の請願は3月10日現在、1万4900人の同意を得ている。

過去にも何度か検討された、コメント投稿者の国籍表示の義務化。今回、法案が成立するかはさておき、韓国で海外からの書き込みへの警戒感が高まりつつあることだけは確かだ。

(文=サーチコリアニュース編集部O)

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