8月15日を迎えた。日本にとっては「終戦記念日」にあたるが、韓国では“光復節”(クァンボクチョル)と呼ぶ。
韓国の辞書を見ると「ウリナラ(我が国)の光復を記念するために制定された国慶日。1945年、ウリナラが日本帝国主義者たちに奪われた国家の主権を取り戻した日で、8月15日のこと」とある。
大韓民国政府が樹立したのも8月15日(1948年)であるため、この日は韓国にとっては特別なのだ。
そのため、8月15日を前後して、各種イベントが行われる。韓国全体でもそうだが、首都ソウルは特に“愛国心”を高揚するようなイベントが目立つ。
例えば2016年8月12日にはソウル市庁に縦13メートル、横18メートルの大きな韓国国旗(太極旗)が掲げられた。支庁本館正門の外壁に展示された巨大な国旗は、登録文化財「韓国光復軍署名文太極旗」をモデルに制作したものだという。
また、光化門広場の北側には、高さ5.2メートル、幅7メートルの大型の花の形をした太極旗が設置された。ソウル江南区などは、さまざまな団体や企業と協力して、区内の90%に国旗を掲げるという「太極旗掲揚キャンペーン」を繰り広げるという。
2015年は「光復70周年記念事業計画」として、日本統治時代である1937年に建設され、もともとは朝鮮総督府逓信局庁舎として使われていた国税庁別館を撤去している。ソウル市から統治時代の名残りを一掃するという名目で行われたらしい。
ちなみに、ソウル市にはまだまだ多数、日本統治時代の遺構が現存する。ソウル市庁に隣接するソウル図書館もその一つだ。
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こういった“イベント”に対するソウル市民の評価はさまざまだ。称賛する声もあれば、否定的な意見もある。
例えば、2016年8月初旬、ロッテ物産は第2ロッテワールドの外壁に縦24メートル、横36メートルの超大型の太極旗を掲げたが、とある市民団体によって“不法広告物”という指摘が出た。ロッテが自社の広報に国旗を利用しているという主張だろう。
いずれにしても“光復節”を前後して行われてきた韓国の愛国心高揚イベント。
今年はどんなイベントや行事があるだろうか。国を愛し、先人たちを敬い偲ぶ行為は否定しないが、過剰な愛国心高揚イベントが日韓の溝を深めてしまうきっかけにならないことを祈るばかりだ。
まして今もまだコロナ禍の最中にある。韓国でも新型コロナ感染症問題が収まらず、集会などを控えているだけに、慎重かつ冷静に取り組むことを期待したい。
文=慎 武宏
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