入社3~5年で専務に…「辛ラーメン」の農心など30代の“オーナー3世”がスピード昇進、後継者教育は最終段階へ

2024年12月28日 経済 #時事ジャーナル
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韓国財界の定期役員人事が終了したなか、食品業界のオーナー3世たちの昇進が注目を集めている。

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今回の人事では、農心(ノンシム)オーナー家3世であるシン・ドンウォン会長の長男、シン・サンヨル未来事業室長と、オリオングループのタム・チョルゴン会長の長男、タム・ソウォン経営管理担当常務がそろって専務に昇進した。

財界では、後継者1位候補が前面に配置され、後継者教育が最終段階に差し掛かっているとの見方がある。ただし、彼らが注力している新規事業の方向性がそれぞれ異なる点に注目が集まっている。

入社3~5年で専務に昇進

財界の発表によると、12月23日にオリオングループ会長の長男で、オーナー3世であるタム・ソウォン常務が、定期人事において専務に昇進した。1989年生まれで35歳であるタム専務は、タム・チョルゴン会長とオーナー2世であるイ・ファギョン副会長夫妻の長男だ。

タム専務は、アメリカのニューヨーク大学を卒業後、北京大学で経営学修士(MBA)を取得。その後、カカオエンタープライズで2年間勤務し、2021年7月にオリオンの経営支援チーム主任部長として入社した。

タム・ソウォン専務
(写真=オリオン)タム・ソウォン専務

オリオン入社後は、超高速の昇進を続けた。入社1年5カ月後の2022年12月の人事で経営支援チームの常務に昇進し、常務昇進後、2年で専務に昇進した。入社から3年5カ月で専務の座に就いた計算になる。

最近の農心の定期人事でも、オーナー3世の昇進が発表された。11月25日、農心は故シン・チュンホ創業者の長孫であり、シン・ドンウォン会長の長男であるシン・サンヨル未来事業室長(常務)を専務に昇進させた。

1993年生まれのシン専務は、アメリカのコロンビア大学を卒業し、2019年に農心の経営企画チーム社員として入社。入社1年で代理に昇進し、その後、経営企画チーム部長や購買担当常務を歴任。今年1月に新設された未来事業室を担当し、入社5年で専務の座を射止めた。

シン・サンヨル専務
(写真=農心)シン・サンヨル専務

財界では、オーナー3世が前面に配置されることで、彼らの後継者準備がさらに加速すると見ている。同時に専務に昇進した彼らの任務は似通っている。グループの持続的な成長のために事業ポートフォリオの多角化を担っている状況だ。

農心の場合、売上全体のうちラーメン事業が80%以上を占めており、オリオンは海外売上比率が60%を超えている。こうした偏った事業構造を改善するという重要な使命が課されている。

成果次第で変わる後継の速度

しかし、新規事業を模索する彼らの動きには、やや違いがあると評価されている。

農心のシン専務は、今年1月の組織改編で新設された未来事業室を率いている。未来事業室は、新規事業の発掘を目的としたM&A(合併・買収)や新事業など、将来の事業ポートフォリオを構築する役割を担う。

シン専務が注力している新規事業は、健康機能食品、ペットフード、代替肉、スマートファームなどだ。これらは、すでに保有している食品製造基盤を活用して事業を拡大する意図がある。財界でもシン専務について「食品以外の事業にはあまり関心がない。本業に集中する戦略だ」と評価されている。

一方で、オリオンのタム専務は、本業とはまったく異なる成長動力を模索している。

オリオンは今年3月、新薬研究開発(R&D)企業「LigaChem Biosciences」の株式25.73%を取得し、筆頭株主となった。この株式取得に投入した資金だけで5483億ウォン(約595億円)に上る。

同社は、医薬化学に基づく新薬研究開発を行う企業で、特にADC(抗体薬物複合体)分野における差別化された技術力でグローバル競争力を持つと評価されている。

注目すべき点は、タム専務がオリオンによるLigaChem Biosciencesの買収プロセスにも関与し、買収後には社内取締役として取締役会に合流したことだ。タム専務は毎週、LigaChem Biosciencesが所在する大田(テジョン)を訪れ、主要な意思決定プロセスに参加していると伝えられている。

財界では、タム専務が本業である製菓分野ではなくバイオ事業に力を注いでいる理由について、グループ内で独自の地位を築くための選択と見ている。LigaChem Biosciencesが安定軌道に乗れば、グループは新たな事業分野で収益源を確保できるだけでなく、タム専務の経営手腕も大きく認められる可能性がある。

これらオーナー3世の新規事業は、成果次第で後継計画が決まる点で一層重要だ。

後継者1位とされる彼らは、他企業の後継者と比べても若年層に属し、超高速で昇進を重ねているため、その経営能力への視線は厳しい。しかし新規事業で頭角を現せば、そうした懸念を払拭し、「3世経営」の開始がさらに早まる可能性もあると見られている。

(記事提供=時事ジャーナル)

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