尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の罷免の可否を決定する憲法裁判所の弾劾審判の宣告が、遅れる可能性が高まっている。
憲法裁判所は、3月13日を監査院長と検事3人に対する弾劾審判の宣告日として指定した。
これまで2日連続で宣告を行った前例がないことから、大統領の「運命の日」と見られていた「3月14日」も見送られるとの見方が強まっている。裁判所の尹大統領に対する拘束取り消し決定を受け、憲法裁判所の熟考が3月末まで続く可能性があるとの分析も出ている。
憲法裁判所は、尹大統領の弾劾審判の弁論が終結した2月25日から2週間が経過した3月11日現在まで、宣告の日程を確定していない。
当初、尹大統領の罷免の可否は、3月中旬を目途に決定されるとの見通しが有力だった。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾審判は、それぞれ弁論終結後14日後、11日後に宣告されており、いずれも金曜日に実施された共通点があるため、「3月14日」が最有力視されていた。
しかし、憲法裁判所は3月11日、チェ・ジェヘ監査院長をはじめ、イ・チャンスソウル中央地検長、チョ・サンウォン中央地検第4次長、チェ・ジェフン中央地検反腐敗第2部長の検事3人に対する弾劾審判の宣告を3月13日に行うと発表した。
憲法裁判所が2日連続で主要案件の宣告を行った前例がないことを考慮すると、3月14日に尹大統領の弾劾審判の結論が出る可能性は低くなった。憲法裁判所の関係者は「通常、主要案件の宣告が2日連続で行われたことはない」と述べた。
これにより、歴代大統領の弾劾審判において、弁論終結から宣告までの期間が14日(2週間)を超える初の事例となり、最長期間の審議となる見通しだ。
尹大統領の宣告時期をめぐり、憲法裁判所が最終的な検討を重ねている背景には、裁判所の拘束取り消し決定が一定の影響を与えたとの分析がある。内乱の首謀者であるか否かを判断する刑事裁判と、懲戒手続きである弾劾審判は、その性格が明確に異なる。
裁判所は、拘束期間の算定基準を「日」ではなく「時間」とする異例の決定を下し、検察が即時抗告を放棄したことで尹大統領は釈放されたが、このような刑事裁判手続きに関する議論が尹大統領の罷免の可否に影響を与えるわけではない。
しかし、尹大統領側が検察および高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の捜査・起訴における手続き上の瑕疵を強調しているため、憲法裁判所の裁判官がこれを無視するのは難しいとの見方が強まっている。
尹大統領側は、憲法裁判所での弁論が本格化した直後から、国会が内乱罪を弾劾訴追事由から撤回したことや、非常戒厳の核心人物に対する被疑者訊問調書が証拠として採用されたことに反発してきた。また、政治家の逮捕や国会への軍隊投入指示に関する証言の信憑性についても疑問を提起し、世論戦を展開してきた。
このため、憲法裁判所が検察から確保した「12・3非常戒厳事態」に関する捜査資料の中に、尹大統領側が手続き上の問題を指摘し得る部分があるかを再検討し、決定文の表現に議論の余地を残さないため、より多くの時間を確保するとの観測がある。
憲法裁判所の宣告結果をめぐり、政界はもちろん、国論の分裂が深まり、尹大統領の釈放後、弾劾賛否陣営間の対立や結果に対する不服の声が高まっている点も考慮せざるを得ない状況だ。
尹大統領の弾劾可否が3月最終週に決定される可能性も排除できない。
尹大統領の案件より6日前に、わずか1回の弁論で終結したハン・ドクス国務総理の弾劾審判の宣告時期が変数として作用する可能性もある。ハン国務総理の弾劾認容の可否をめぐる核心争点も非常戒厳と関連しているため、尹大統領の案件と同時に宣告される可能性がある。ハン国務総理の案件の結果が、尹大統領の罷免可否の判断材料となり得るため、両者の宣告を同時に行うことも考えられるわけだ。
これに先立ち、尹大統領とハン国務総理側は、憲法裁判所に国務総理の弾劾審判を先に宣告するよう求めた。
実際に憲法裁判所がハン国務総理の案件を先に宣告する場合、合議や決定文の作成、評決に要する時間を考慮すると、尹大統領の案件を来週(3月17~21日)に宣告することは現実的に困難となる可能性がある。
憲法裁判所の研究官を務めたノ・ヒボム弁護士は3月11日、MBCラジオ『キム・ジョンベの視線集中』に出演し、尹大統領の釈放が憲法裁判所の弾劾審判の「結果」に影響を与えることはないとし、「弾劾審判を行う憲法裁判官が、刑事裁判に関連する捜査や問題に影響を受ける理由はまったくなく、影響を受けてもならない」と述べた。
尹大統領の宣告が予想より遅れていることについては、「裁判官たちは、大統領の違憲的な非常戒厳宣言が韓国の憲政に及ぼす害悪、大統領による親衛クーデターが憲政に与える影響を決定文に含めるため、一字一句を慎重に推敲しており、それに時間がかかっているようだ」とし、「現在、決定文の草案が作成中であるか、ほぼ完成段階にあると見られる」と分析した。
一方、憲法裁判所の尹大統領の弾劾審判の進行が遅れるなか、与野党の対立は激化している。
与党は尹大統領側と同様に、手続きの正当性を追及しながら憲法裁判所への圧力を強めている。尹大統領の釈放により危機感が高まった野党は、憲法裁判所に迅速な弾劾認容を求め、断食や頭髪を剃るなどの抗議行動に突入した。
(記事提供=時事ジャーナル)
■【写真】「私の髪の毛で草鞋を編む」女性を含む初当選議員3人が頭を丸める…韓国最大野党
前へ
次へ