”韓国版NVIDIA”を目指す――韓国次期大統領候補、AI特化型大学の設立を構想

2025年04月23日 政治
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「共に民主党」に所属する次期大統領候補の李在明(イ・ジェミョン)氏が、AI関連の大統領選公約の一環として、「AI重点工科大学」(仮称)の新設を検討していることが明らかになった。

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これは、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に設立されたエネルギー特化型大学「韓国エネルギー工科大学」のように、AIに特化した理工系大学を設立するという構想だ。AIエコシステムの構築には、国家主導による戦略的人材育成が不可欠との判断によるものだ。

4月23日、本サイト提携メディア『時事ジャーナル』の取材によると、李候補のシンクタンク「成長と統合」は、AI特化型大学の設立を公約として内部で議論しているという。中心メンバーの一人は「国家の支援のもと、AI専門人材を育成するAI重点大学の設立を検討している」とし、「このモデルが成功すれば、全国に拡大できるのではないか」と期待を示した。

李在明
(写真=時事ジャーナル)李在明候補

この構想は、設立方式の面でも文在寅政権時代の韓国エネルギー工科大学に類似している。世界唯一のエネルギー特化型研究中心大学として推進された同大は、政府と地方自治体の出資により設立され、2019年8月には政府が国務会議で、10年間にわたり地方自治体の出資と同等の金額を支援することを決定した。全羅南道や羅州市などが合計2000億ウォン(約200億円)を出資している。

今回の議論は、AI覇権争いにおける、国家主導による人材育成の必要性が背景に存在する。「成長と統合」では、“韓国版NVIDIA”のようなAI企業を育てるには、技術やインフラだけでなく、人材育成が不可欠だという認識を持っている。関係者は「中国が短期間でアメリカを追い上げられたのは、豊富な専門人材と、優秀な技術者を海外から引き入れたからだ」と述べ、「韓国も国家の資金で直接人材を育成する方式を検討している」と語った。

さらに、AIに特化した中学校・高校を全国規模で設立する案も内部で検討されている。実際に、光州広域市など一部の地域ではすでにAI英才高等学校が運営されている。別の「成長と統合」の関係者は、「既存の科学高校とは異なる形で、AI分野だけに特化して学べる高校が必要だと考えている」とし、「将来的には中学校段階まで早期教育を拡大し、AI特化型人材を育てるモデルを話し合っている」と説明した。

そして大学の設立候補地としては、「国家AIデータセンター」が位置する光州広域市をはじめ複数の都市が挙がっている。特に光州に設立されれば、同地のAIデータセンターなどのインフラを最大限に活用できるとみられている。光州の先端第3地区にあるAI集積団地内のAIデータセンターでは、すでに全国900以上の企業が約2000件のAIプロジェクトを進めており、センターは高性能GPU計算機器や大容量ストレージを提供することで、大学や研究機関が高額な設備なしでAI開発に取り組めるよう支援している。

最近では、李在明陣営が光州を「AI中心都市」とする政策案を相次いで打ち出している。国家AIコンピューティングセンター(約10兆ウォン=約1兆円規模)の光州設置、AI産業振興院の設立、光州型AI半導体の開発支援や次世代ファブレス共同活用センターの構築などが検討されている。

関係者は「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が最も失敗したのは、光州をAIイノベーション都市の最終段階まで育てなかったことだ」と指摘し、「光州には中国のDeepSeekに匹敵する技術開発ができる十分なインフラがある」と強調した。

(記事提供=時事ジャーナル)

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