韓国の“ファンタジスタ”と呼ばれたアン・ジョンファン。その名はサッカーファンでなくとも、広く知れ渡っている。
何しろ日本と韓国が共同開催した2002年ワールドカップで、韓国代表のベスト4進出に大きく貢献するゴールを連発。韓国の“イケメン・サッカー選手”としてワイドショーでも取り上げられたほどだ。クールで華麗なプレースタイルから女性ファンも多かった。
その一方で日本ではアンチ・ファンが多かったことも事実だろう。“韓国のファンタジスタ”は、愛され憎まれたストライカーでもあった。
そんなアン・ジョンファンも2012年1月に現役を引退。引退会見では「1998年にKリーグデビューし、2000年からイタリアや日本、フランスを経て、様々なサッカーを経験してきた。成功したともいえるし、失敗ばかりだったともいえる。どちらにしても、人生において幸運な時間だった。良いサッカー人生だったと思う」と語った。
また「ワールドカップという大舞台に、3回出場することができた。選手としてやれることはすべてやり遂げたので、とても幸せだった」とも振り返っている。
あれから4年。現在、アン・ジョンファンは違った方面で再び注目を集めている。
現役引退後、Kリーグの広報大使などを務めていたアン・ジョンファンだが、最近は“プレー”ではなく、“忌憚のないトーク術”で注目を集めている。韓国の民放テレビ局MBCのサッカー解説者を務める彼は、2014年ブラジルW杯で解説者としてブレイク。
日本対コートジボワール戦では「ドログバの投入で試合が完全に変わった。選手たちがドログバ加入で勝利を信じるようになった」、日本対ギリシャ戦では「試合はやや退屈気味だが、ギリシャの窒息守備が目立つ試合だ」とコメントしたのだ。
Jリーグでプレーした経験もあることからか、日本に対してかなり辛口で、それが韓国でも話題になり、最近はサッカー中継だけでなくバラエティ番組にも引っ張りだこになっている。
しかも最近はゲスト出演ではなく、番組のMC(司会)を務めることも。
2014年に韓国で人気の家族バラエティ『アッパ(パパ)、どこ行くの』に出演して“満点パパ”ぶりを披露したことを機に、スポーツバラエティの『わが街の芸・体・能』といった各種番組に出演。
2015年にはリアルバラエティ『青春FCハングリーイレブン』で、Kリーガーを目指す元アマチュア選手たちを叱咤激励する監督を務め、巧みな話術も披露している。
2015年12月にはMBC『マイ・リットル・テレビ』でMCを務め、サッカーをテーマにして様々な俗語ギャグを連発して視聴者たちを笑わせたかと思えば、ネットユーザーの反応を的確に活用してそれを笑いに変えたりもするなど、抜群のコメディ・センスも披露した。
最近は、韓国の人気料理番組『冷蔵庫をお願い』でスペシャルMCを務めている。
彼はゲストをほっこり安心させるホスティングと軽快なトークを披露。「結婚すると寝たふりをしないといけない。起きていると何かやらされる。家の中でも戦略的に行動しないといけない」などと自虐ネタも披露したほどだ。
華麗な話術と興味深いエピソードを絶え間なく披露し、今やタレント化したアン・ジョンファン。目指すは“韓国の松木安太郎”か!?
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