韓国でヒットしている日本アニメはジブリ作品だけではない。
劇場版『名探偵コナン』シリーズはかなりの人気だし、『進撃の巨人』などは19歳未満(日本の18歳未満)視聴禁止の判定を受けたにもかかわらず、小・中・高校生から20、30代はもちろん、中年世代たちも「一度見てみたい」という声が増えたほどの社会現象を起こしている。
今なお人気の『進撃の巨人』が韓国でも異例の快進撃を炸裂させたワケ
もっとも、韓国で進撃を続けているのは日本アニメだけじゃない。
日本映画も多数、韓国に輸入されている。その快進撃を物語る興味深いデータもある。韓国の映像物等級委員会が毎年発表するデータだ。
韓国の映像物等級委員会は日本の映画倫理委員会に相当する機関で、“映画及びビデオ物の振興に関する法律”第71条にのっとって、韓国に輸入された作品を「全体観覧可」「12歳以上観覧可」「15歳以上観覧可」「制限上映可」「青少年観覧不可」といった等級にふるい分けているのだが、同委員会の「韓国映画市場国別等級分類調査」で、常に上位の常連が日本だったいう。
やや古いデータになるが、例えば2015年だ。その数、実に483作品もあったというのだから驚きだ。
だが、483作品すべてがアニメや実写映画ではなかった。むしろ日本作品483作のうち、「全体観覧可」は7.0%、「12歳以上観覧可」は6.6%、「15歳以上観覧可」は4.6%、「制限上映可」は0.7%で、「青少年観覧不可」が81.1%(392作品)と最も多かったという。
「青少年観覧不可」とは、日本で言うところの「R18指定」で、とりわけ性表現が多い成人映画は無条件で「青少年観覧不可」となる。
つまり、韓国に輸出される日本映画の大半は成人映画でもあるわけだが、日本の成人映画が韓国の成人映画産業に壊滅的な打撃を与えていることは知る人ぞ知る事実だ。
アニメ映画と成人映画ではジャンルも作風も客層も異なるが、日本コンテンツに負けた韓国成人映画の前例を目の当たりにすると、今度は日本のアニメ映画が韓国のアニメ映画産業にどんな影響をもたらすことになるか。非常に気になってくる。
文=慎 武宏
*この原稿はヤフーニュース個人に掲載した記事を加筆・修正したものです。
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