2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で“二刀流”として最高の活躍を見せ、侍ジャパンを優勝に導くとともに自身も大会MVPに輝いた大谷は、勢いのままに米メジャーリーグ(MLB)でも活躍を続けている。
4月19日(日本時間)時点で、大谷は打者として16試合で打率0.300(60打数18安打)、4本塁打、9打点、OPS(出塁率+長打率)0.876を記録。投手としては4試合に登板して2勝0敗、防御率0.86、6被安打、27奪三振、13四球、3死球の2失点(自責点2)を記録している。
18日のボストン・レッドソックス戦が惜しかった。先発投手兼指名打者として出場した大谷は同日、大雨による長時間の中断の影響もあり、2回を終えて降板となった。成績は31球を投げて3奪三振、1四球、1失点だった。ただ、打者としては最後までプレーし、5打数2被安打を記録した。
大谷はレッドソックス以前まで3試合連続でクオリティスタートを成功させていた。19回を投げて許した失点はわずかに1点のみで、四球こそ12個と多いものの、6被安打、24奪三振、WHIP 0.95としている。
昨年4月の4試合2勝2敗、防御率4.19と比較すると、2023年シーズンは序盤から良いコンディションを維持している。レッドソックス戦も雨が降らなければ、6~7回は十分投げることができたはずだ。
大谷は2021年シーズン、ア・リーグMVPを満場一致で受賞した。ただ、投手として23試合(130.1回)9勝2敗、防御率3.18を記録したものの、サイ・ヤング賞の投票では1票も得られなかった。
2022年シーズンはア・リーグMVP投票2位、サイ・ヤング賞投票4位だった。投手成績は28試合(166回)15勝9敗、防御率2.33だった。
そして今季、早くもア・リーグのサイ・ヤング賞受賞者に注目が集まるなか、アメリカのとあるベッティングサイトはゲリット・コール(ニューヨーク・ヤンキース)に「+600」、ディラン・シース(シカゴ・ホワイトソックス)に「+700」、ジェイコブ・デグロム(テキサス・レンジャーズ)に「+800」、大谷に「+1000」の配当を提示した。
2020年シーズン前にヤンキースと9年3億2400万ドル契約を結んだコール、昨冬にレンジャーズと5年1億8500万ドル契約を結んだデグロムは、サイ・ヤング賞争いで最も強力なライバルとなるだろう。
実際、どのベッティングサイトでもコールの配当が最も低い。最も受賞の可能性が高いという意味だ。
コールは現在、4試合で4勝0敗の防御率0.95を記録している。28.1回を投げて3失点、32奪三振(ア・リーグ全体2位)、WHIP 0.74を記録している。
特に、17日のミネソタ・ツインズ戦では最速159km、平均156kmの剛速球を投げ、9回の間にわずか2被安打しか許さず、1四球、10奪三振の無失点で完封勝利を収めた。
毎シーズンでサイ・ヤング賞の有力候補に挙げられるコールだが、まだ一度も受賞した経験がない。2019年、2021年の2位がサイ・ヤング賞における最高成績だ。
デグロムは18日、カンザスシティ・ロイヤルズ戦で先発登板したが、4回1四球、5奪三振、無失点を記録して交代された。最速100マイル(160.9km)を投げたデグロムは4回まで無安打の好投を続けていたが、右手首の痛みを訴え、負傷予防のため自主的に降板した。
デグロムは4試合で1勝0敗、防御率3.42、32奪三振(ア・リーグ2位)を記録している。開幕戦のフィラデルフィア・フィリーズ戦は3.2回73球を投げ、6被安打(1被本塁打)の5失点と振るわなかったが、今月6日のボルチモア・オリオールズ戦では6回2被安打、11奪三振、2失点(自責点1)、12日のロイヤルズ戦では7回7被安打、9奪三振の2失点と本来のペースを取り戻した。それだけに、今回の手首の負傷が懸念される。
シースは4試合(22.1回)で2勝0敗、防御率2.01、29奪三振(ア・リーグ3位)を記録している。彼ら以外にも、まだシーズンが1カ月経過していないなかで序盤からペースが良い投手は多い。
シーズン前にマイアミ・マーリンズからミネソタ・ツインズにトレードされたパブロ・ロペスは、4試合(26回)1勝1敗、防御率1.73、33奪三振(リーグ1位)を記録している。
ルイス・カスティーヨ(シアトル・マリナーズ)は4試合2勝0敗の防御率0.73、26奪三振、シェーン・マクラナハン(タンパベイ・レイズ)は4試合4勝の防御率1.57、27奪三振を記録している。
“二刀流”の大谷は投手だけに専念するほかの投手と異なり、体力的な問題や登板間隔などで不利な条件にある。
はたして今季サイ・ヤング賞を受賞する可能性はどれだけ高いのか、今後のパフォーマンスを見守りたい。
(記事提供=OSEN)