サッカー韓国代表が荒れに荒れている。
カタール代表の連覇で幕を下ろした今回のアジアカップ。韓国代表はソン・フンミン(トッテナム)、イ・ガンイン(PSG)、キム・ミンジェ(バイエルン・ミュンヘン)と各セクションにワールドクラスの選手が揃ったことで、史上最強との呼び声が高かった。
64年ぶりのアジア制覇を目標に掲げていた韓国だったが、蓋を開けてみると結果はベスト4敗退。準決勝のヨルダン戦は0-2と完封されたうえ、枠内シュートが0だったことも衝撃的だった。
韓国は今大会、スペクタクルな試合でベスト4まで勝ち上がったが、裏を返せば不安定そのものだったと言えるだろう。内容を見ても、守備はキム・ミンジェ、攻撃はソン・フンミン、イ・ガンイン任せだったといっても差し支えない。そのため、韓国国内ではクリンスマンを「無策」「無能」と揶揄する声が多数を占めていた。
そもそもクリンスマンは今大会のみならず、昨年2月の就任直後から一貫して批判が付きまとっていた。当初、韓国国内に70日も滞在せず、頻繁な海外出張や自宅のあるアメリカへの滞在を続けるなどし、韓国では「在宅勤務」や「外遊」などの表現で批判を浴びたこともある。
そして解任の決定打となったのが、大会期間中に起きていた“内紛”だ。2月14日、英『ザ・サン』はヨルダン戦前夜にチームに亀裂が走っていたと報道。卓球をするために食事を早く済ませた若手を、ソン・フンミンをはじめとしたベテラン勢が止めたことで揉めたという。これにより、ソン・フンミンは指を脱臼する怪我を負っている。
アジアカップ後、日に日に高まるクリンスマン更迭論に、韓国サッカー協会もお手上げ状態だったのだろう。戦力強化委員会は2月15日の会議で更迭することを決め、翌日の緊急役員会議で解任を正式決定したのだった。
2023年2月27日の就任から、1年未満での解任となったわけだが、クリンスマンの母国メディアは当初、「ドイツ代表、ヘルタ・ベルリン、バイエルン・ミュンヘンなどで事故ばかり起こした人」と憂慮を示していた。そのためアジアカップ敗退後、独メディア『スポルト1』はクリンスマンの“経歴”を伝えるとともに、「韓国代表の幸運を祈る」と皮肉交じりのエールを送っていた。
いずれにせよ、韓国代表には次の戦いが迫っている。3月21日にはW杯アジア2次予選のタイ戦が控えているため、早急にピッチ内外の問題を片付けなくてはならない。
協会は新監督について、どのような決断を下すのだろうか。続報を待ちたい。
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