「ろうそく」は進歩、「韓国国旗(太極旗)」は保守。
朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾事態が発生した2016年以降、これが市民社会やメディアが示してきた一般的な認識だった。
しかし最近の「12・3非常戒厳事態」に続き、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾政局において、このような二分法が揺らいでいる。
「国の心配をしているのに進歩と保守の区別が必要なのか」という視点や、「太極旗は特定勢力の専有物ではない」との主張まで提起されている。
進歩的な性向を持つとされるオンラインコミュニティ「クリアン」では、非常戒厳以降、「アイドルファンが太極旗を狙っている」という趣旨の投稿が上がった。
とあるネットユーザーはアイドルコミュニティの投稿を引用し、「欲張りなアイドルファンたちに新たな目標ができた」と述べ、太極旗がついた応援グッズの写真を投稿した。これに対して「本当に良い考えだ」「徐々に民主市民たちが太極旗の奪還を試みている」といった賛同の反応が見られた。
比較的保守的とされるオンラインコミュニティ「DCインサイド」でも、似たような意見が投稿された。
とあるユーザーは「以前、誰かがろうそくデモに太極旗を持ち込んで、人々が何か言ったけど、『太極旗部隊ではなく、彼らが奪った太極旗を取り戻そうという趣旨だ』と言ったら、みんな喜んでいた」と述べ、「いつかは太極旗を取り戻さなければならない」と付け加えた。
12月8日には、X(旧ツイッター)で「大統領の退陣を求める大邱(テグ)のデモに行ってきた。私はかっこいい応援グッズやキャンドル、プラカードなどを持っていなかったので、友人と太極旗を掲げた」との投稿が上がった。
また別のネットユーザーはXを通じて、「25年前、インターネットもなかった時代に、親日派の名簿に学校設立者が含まれていたため、鞄に太極旗をつけたことがある」と述べ、「太極旗を極右から取り戻そう」と主張した。この投稿は1400回以上共有され、広く拡散された。コメントには「国を心配することは政治的な理念とは無関係だ」という意見もあった。
いわゆる「太極旗部隊」と総称される市民団体は、2016年の朴槿恵大統領弾劾の局面で、本格的な街頭活動を展開した。当時、朴槿恵を支持する団体として、「パクサモ」「オボイ連合」「大統領弾劾棄却のための国民総決起運動本部(弾棄国)」などが連日太極旗を掲げ、「弾劾反対」を叫びながら街頭で活動した。
これらを保守というスペクトル内で見ることができるかについては、意見が分かれる。ひとまず、「セヌリ党」-「自由韓国党」-「国民の力」へと続く保守系政党と価値観を共有している部分が多いと評価されている。そのため政権が変わった後も、「太極旗=保守勢力」という認識が固まり始めた。
一方で、「ろうそく」は進歩勢力の象徴物と見なされている。もともと、ろうそくデモは長い歴史を持つ非暴力的な抗議方法の一つだ。この意味を持つ英単語「candlelight vigil」は、西洋でも市民の静かな抵抗を示す集会として広く知られている。
韓国では2016年、「朴槿恵退陣汎国民行動」を中心に、朴槿恵の辞任を要求する市民団体がキャンドルを掲げ、大規模なろうそくデモが行われた。この時、野党だった「共に民主党」などの進歩系政党もこれに参加し、キャンドルと太極旗の間で対立構図が形成された。
しかし今回の戒厳事態以降、インターネットなどで提起された主張のように、太極旗を政治的に解釈してはならないという意見が力を得ている。この関連で、12月9日には「共に民主党」の議員たちが非常議員総会で、互いの胸に太極旗のバッジをつけ合う姿も見られた。
これまで太極旗に保守的な色彩が濃く塗られていたという観点から見ると、異例の出来事といえるだろう。
一方、政権支持の観点から太極旗部隊と足並みを揃えていた保守政治圏までもが、尹大統領に背を向け始めている。
「国民の力」のハン・ドンフン代表は12月16日に辞任しながら、「弾劾賛成に転じたことを後悔していない」と明らかにした。また、14日の国会で大統領弾劾訴追案が可決された際、「国民の力」所属議員12人が賛成票を投じ、「否決」という党の方針を無視した。
(記事提供=時事ジャーナル)
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