あれから5年…韓国が「死んで蘇っても我が国では『ポケモンGO』を作れない」と嘆いた理由

2021年07月07日 社会
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5年前の今頃、全世界で爆発的なブームを起こしたスマートフォンゲーム『ポケモンGO』。韓国でも大きな人気を呼んだが、当時、韓国で声高に叫ばれたのが、「なぜ韓国では『ポケモンGO』のようなゲームは作れないのか」ということだった。

“ゲーム大国”を自認してきた韓国だけに、メディアやネット住民たちの間では、『ポケモンGO』が話題になればなるほど、このテーマが議論に上がった。

例えばテクノロジー&サイエンスメディアの『HOOC』は、「韓国で『ポケモンGO』が生まれない理由」という記事の中で、次のように指摘した。

「現在、韓国で『ポケモンGO』に夢中になっているのは28歳から32歳のいわゆる“ポケモン・オドック”たちだ。

彼らが子供の頃に熱狂したのは、ディズニー、セーラームーン、スーパーマリオ、チャンク(クレヨンしんちゃん)、スターウォーズ、僕たちはチャンピン(爆走兄弟レッツ&ゴー!! MAX)、あずまんが大王だった。残念ながら国内コンテンツはひとつもなった」
 
つまり、多くの若者たちが日本の文化に慣れ親しみ、そのひとつである『ポケモンGO』に熱狂するのは当然のことである一方、韓国が20~30代の世代を熱狂される自前のコンテンツを作れなかったことを批判する声が多かった。

蔚山でも『ポケモンGO』ができると伝えるMBCニュース(写真=『MBCニュース』のキャプチャー画像)

「なぜ韓国では『ポケモンGO』のようなゲームは作れないのか」ではなく、「なぜ韓国は『ポケモン』のようなコンテンツを作れなかったか」と嘆いているわけだ。

とある識者も、残念そうに語っていた。

「韓国には『ポケモン』のように数百のキャラクターを保有し、全世界で愛されているキャラクターはない。知的財産(IP)不在なのだ」

そんななか、韓国では国民的人気を誇り、一部海外にも進出している『ポンポン ポロロ』を活用せよとの声が上がり、『ポロロGO』の開発も噂されたが、それが仮に完成したとしても『ポケモンGO』のように世界的にヒットし、愛されることはないだろう。

それは、韓国のゲーム業界の状況とも無関係ではない。

一般紙『ソウル新聞』も、「死んで蘇っても韓国では『ポケモンGO』を作れない理由」という記事の中でこう指摘していた。

「韓国のゲーム業界はゲームを“収益創出”のための手段と認識する傾向が強い。課金誘導に重点を置いた千篇一律的なゲームが量産される状況で、(『ポケモンGO』のように)独自的特色を持った作品が生まれることを期待するのは難しい」

『ポケモンGO』はプレーヤーたちに課金や金銭的な誘引のような要素がなくても、自ら外出し地域経済に尽くし自分たちも健康になっている。

記事はそう説明しながら、韓国では『ポケモンGO』が生まれない理由について次のように指摘していた。その論調は厳しく、しかしズバッと本質をついて韓国人には痛いものでもあった。

「既成世代は“何のトクにもならない”という理由でゲーム文化を蔑視し、企業はおもしろいゲーム・システムよりも安定的な収益構造の開発に熱中する。政府はゲームを有害媒体と定めながら、ゲーム産業の経済的効果は大事にする二律背反的な態度を見せている。

しかも、一部のゲーマーたちですら、“楽しさ”よりも“勝利”に執着して各種の便法プログラムを使用している。(省略)楽しさを至上課題にしなければいけないゲーム産業の当然の属性が、今なお浅薄に軽んじている我々には、まだまだ道程は遠い」

『ポケモンGO』の世界的人気を目の当たりしながら、自国のゲーム市場の現状と限界に嘆いていた韓国。あれから5年が過ぎた今。業界はどう変わったか注視したい。

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