お隣・韓国では、止まらない物価の上昇により、「ランフレ」という新しい造語が生まれるほど、庶民の生活が圧迫されている。
そうした状況の中、自営業者にとって厳しいのは、来年から実施される最低賃金の引き上げだ。その結果、人件費を払うことが難しい事業者の間で、有人店舗に見切りを付けた無店舗経営店が増加している。
実際、人件費による経営圧迫は無視できないレベルで、ここ5年間で最低賃金は2018年の7530ウォン(約753円)から毎年上昇し続け、2022年6月時点で8750ウォン(約875円)にまで上がった。こうしたコスト上昇は経営形態にも大きな影響を与えている。
韓国のコンビニ業界によると、最近では混雑時間だけ有人経営を行い、深夜や早朝など客が少ない時間には無人で運営されるハイブリッド店舗が全国に2603カ所もあるという。
また、2年前に434カ所だった無人コンビニは、2021年には1990カ所に増え、今年に入って613カ所も増加されたことがわかった。
従業員を募集しない「一人社長」経営は、コンビ二以外にも波及しており、5月基準で全国非賃金労働者のうち雇用員がいない自営業者は、昨年12月の416万人から2022年5月時点で431万6000人にまで増加した。
「一人社長」が増えていく状況に、韓国内でも「私も早く無人化したい。これ以上、人件費を払い続けるのは無理」「賃金引き上げの代償だ。ブーメランとなって最終的には仕事がなくなるだろう」「先進国ほどアナログにこだわる。後進国であるほど自動化や無人化が発達していく。その後にどうなるかの検証が足りない」など、経営者に同情的ながらも、最終的に雇用先がなくなるのではと危惧する声が多かった。
新型コロナウイルスが契機となり、爆発的に増加した無人店舗。しかし目先の利益を追っていった先にあるのは人のいらない、あらゆる意味での寂しい状況かもしれない。
(文=サーチコリアニュース編集部)
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