そんななか、お隣・韓国では一人の警備員が不当解雇を突き付けられたとして、大きなバッシングを受けている。
去る3月25日、とあるオンラインコミュニティには「アパート警備員を助けてください」というタイトルの投稿がされた。
投稿者は大邱(テグ)市内にあるマンションの入居者を名乗り、「4年間、誠実に働いてきた警備員Aさんの解雇通知を受けたので助けてほしい」と訴えた。
投稿者によると、「Aさんは2019年から4年余り勤務していた」とし「高齢者がたくさん住んでいるアパートで、荷物の運び入れを手伝ってくれるなど、親切な対応を常にしてくれる誠実な人だ」と訴えた。
ところが、Aさんは2月末に突然、解雇通知を突き付けられたという。しかも、その内容は「住人の80%が嫌悪している」という、まるで客観的根拠が感じられない理由だった。
管理会社によると、この結果は入居者代表会議で決まったというが、投稿者は決定を不当に感じて撤回を求めた。その結果、200人以上の人がAさん解雇の撤回に同意したという。
この投稿は韓国国内で大きな反響を呼び、「80%の内訳を提示しろ」「代表会議に出席しているのは誰なのか」など、解雇通知に対する批判が殺到。
主要メディアにも取り上げられた結果、Aさんの不当解雇は無事に撤回された。
もっとも、韓国で警備員に対する不当解雇の事例は頻繁に起こっている。
最近でも、とあるアパートでは「暖房費やガス料、電気料金など管理費の負担を減らすため、警備員34人のうち11人を解雇する」という内容を公知したが、住人の反発と反対投票で雇用継続となった事例もある。
韓国において、警備員はどうしても立場が弱いものだ。実際、韓国全土に警備員は計26万9000人いるが、平均年齢は63.9歳で、
50歳~69歳は62.3%、70歳以上は29.1%という数字が出ている。
また、警備員5人のうち1人が、3カ月ごとに更新される勤労契約を結び、5人のうち4人はアパートに間接雇用される。
1カ月の平均賃金は192万1000ウォン(日本円=約19万2100円)で、商用労働者や臨時日用労働者とともに、労働時間は月基準で207時間(平均14~15時間勤務)に達する激務なのだ。
それでも、警備員の立場はとても弱いことには変わりない。どうにか、労働条件が改善してくれれば良いのだが…。
(文=サーチコリアニュース編集部)