韓国の伝統料理といえば、真っ先に浮かぶのはやはりキムチだ。
韓国では来たる長い冬に備え、春先まで食べるキムチを大量に漬ける「キムジャン」文化が盛んだ。このキムジャンは2013年にはユネスコ世界無形文化遺産に登録されている。
しかし、このキムジャン文化は、最近厳しい状況に直面している。キムジャンを行う家庭が大幅に減少しているというのだ。
韓国農村経済研究院が消費者550人を対象に実施したアンケート調査の結果、回答者の35.6%が「今年キムジャンをする意思が減少する」と答えた。
そのうち42.1%が、キムジャンにかかる費用を主な理由に挙げた。特に今年は異常気象と干ばつが重なり、白菜の価格が例年より上昇したことが影響している。
また、現代の価値観と伝統文化の間で葛藤が生じている。男女平等が叫ばれる昨今、キムジャンをする“労働”に対する不満の声も大きいのだ。韓国内では「キムジャンで苦労するのはおばあちゃんやお母さんだけ」とし、「女性だけが負担を強いられている」という意見も多い。
また、若者の“キムジャン離れ”も無視できない。伝統的文化として引き継ごうとしても、子供たちがやりたがらない家が多いのだ。
こうした状況に対し、韓国内では「息子や孫には直接漬けたキムチを食べさせたい」「我が家の味が徐々に失われていく」など、キムジャン文化の衰退を嘆く声が多く聞かれる。
韓国の各家庭には独自のキムジャン製法がある。そんな「家庭の味」が廃れていくのはさみしいことだ。
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