日本による強制徴用被害者として知られるイ・チュンシクさんが死去したことについて、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が哀悼の意を表した。
【注目】“強制徴用”被害者、イ・チュンシクさんが105歳で死去
文前大統領は1月28日、自身のフェイスブックに「日本製鉄の強制徴用被害者であるイ・チュンシクさんが亡くなられたという悲しい知らせを聞いた」と述べ、「故人の生涯とその意志を心に刻み、追悼の意を表すとともに、ご遺族の皆様に深い哀悼の意をお伝えする」と投稿した。
続けて「イ・チュンシクさんは、戦犯企業である日本製鉄を相手取った損害賠償訴訟で歴史的な勝訴を勝ち取られた主人公だった」と述べ、「勝訴の喜びに先立ち、先にこの世を去った同僚たちを偲び、涙を流されていた姿が今も鮮明に思い出される」と振り返った。
そして「イ・チュンシクさんが歴史を証言し、自ら示された人間の尊厳の精神と不屈の意志を、私たち後世がしっかりと受け継ぎ、誇れる国を築いていく」と決意した。
イ・チュンシクさんは1940年代、日本製鉄の岩手県の釜石製鉄所に強制動員され、劣悪な環境下で労働を強いられたとされる。韓国の最高裁は2018年10月、日本製鉄や三菱重工業など強制徴用に関与した日本企業に対して損害賠償責任を認める判決を下した。
イ・チュンシクさんは2024年10月30日に賠償金を受け取ったが、それから約3カ月後の2025年1月27日に亡くなった。享年105歳。
イ・チュンシクさんへの追悼をはじめ、最近、文前大統領の政治的なメッセージが増えている。
例えば、1月15日には尹大統領が拘束された後、自身のフェイスブックで「平凡な市民の大きな連帯が成し遂げた勝利」とし、「非常に痛ましく恥ずべき出来事だったが、これを新たな出発点にしなければならない」と投稿した。
また1月23日には、「共に民主党」元院内代表が設立したシンクタンクの設立記念シンポジウムに寄せた祝辞で、「政治行動がますます過激化していることに非常に懸念を抱いている」とし、「無意味な妄想や誤った信念にとらわれ、憲政体制を揺るがし、国民を分裂させる状況が一層嘆かわしい」と話したりした。
旧正月が迫った1月27日にも「国民と一つの心で祈る」と述べ、「一日も早く国が正常化されるように、私たちの日常が平穏を取り戻せるように、傷つき分裂した国民の心が慰められ癒されるように、暮らしがより豊かになるように」と伝えている。
来る1月30日には、次期大統領候補の最有力とされる最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が文前大統領の自宅(慶尚南道・梁山)を訪れる予定もある。
史上初めて現職大統領が拘束起訴されるなど、政治的な不確実性が高まっている韓国で、前大統領の存在感が増している状況だ。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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