例えば制作時期。本来のクランイン予定は2020年3月だったが、当時は新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた頃で、その影響をもろに受けた。
撮影を始められたのは6月で、感染予防対策を徹底しても夏には制作スタッフの中からコロナの陽性者が出て撮影がストップしたほどだったという。
「当時は世間的にも新型コロナへの警戒が厳しく、撮影現場に入る前から防疫対策が始まりましたよね。まず、僕たち出演者や帯同するマネージャーはもちろん、スタッフ全員が各自で自宅検温を済ませたあと、スタジオに入るときも体温チェックと問診シートの提出が決まりになっていました。控室でも社会的距離を維持し、撮影中は全員マスク着用が当たり前。僕たち俳優陣はさすがに本番ではマスクなしで演技をしましたが、手洗いやモニターチェック時の配慮など、コロナ前にはなかった決まり事が増えたのは事実でした。“新しい生活様式”ならぬ“新しい撮影様式”が浸透した時期でした」
そうした環境の変化が演技に支障を来たしていてもおかしくはなかったはずだが、イ・ビョンホンは「環境の変化で演技に集中できなくなるということはなかった」という。