サッカーの世界では日本のライバルであり、「アジア最高」を自認する韓国。
その韓国のプロリーグであるKリーグの各クラブの年俸総額と平均年俸を知ると、「本当にアジア最高なのか」と勘ぐりたくなる。
Kリーグは1部リーグに相当する「クラシック(12チーム)」と2部リーグに相当する「チャレンジ(11チーム)」の2部構成となっているが、2015年度Kリーグ・クラシックの韓国人選手平均年俸(出場給、勝利給込み)は1億4830万ウォン(約1480万円)と発表されたのだ。
サッカー選手のお金を扱うサイト『サカマネ.net』によれば、2015年度J1リーグの平均は2017万円。
Kリーグの平均は日本よりもかなり低いことがわかるが、2部リーグに匹敵する「チャレンジ」はもっと低い。
平均は4945万ウォン(約495万円)である。
Kリーグは全クラブの内訳も公開しているが、選手年俸に最もお金を使ったのはリーグ連覇を成し遂げた全北現代(総額120億509万ウォン/平均3億3347万ウォン)。
年俸総額が最も低かったのは、チャレンジリーグの高陽FC(総額9億5484万ウォン/平均3410万ウォン)だという。Jリーグクラブのチーム平均人件費は15億600万円(2014年度)と言われているが、Kリーグは優勝チームでも平均に届かない規模というわけだ。
韓国のスポーツ紙記者も言う。
「Kリーグでは選手年俸を非公開にしてきた。クラブ側が内部事情の公表は選手の士気低下を招くとしたのが最大の理由。韓国ではプロ野球はもちろん、プロバスケットボール、プロバレーボールも年俸を公開しているにもかかわらず、サッカーだけは非公開が続いた。
ただ、2011年に発覚した八百長事件を機にKリーグでは透明化が求められ、2013年から全クラブの選手年俸を公開するようになった。公開されたことで本当の金額がわかり、Kリーグの規模の小ささを嘆くファンも多い」
しかも、年俸の透明化は副作用も産んだ。年俸公開によってKリーグの選手が資金力のある中国リーグや中東リーグにどんどん引き抜かれているのだ。
例えば2010年Kリーグ得点王のユ・ビョンスは中東に、韓国代表のハ・デソン、パク・ジョンウらは中国リーグに引き抜かれた。
今季開幕前には浦項のイ・ミョンジュがKリーグ歴代最高額となる50億ウォン(約5億円)の移籍金でUAEのアル・アインに引き抜かれ、去る12月には昨季Kリーグ「ヤングプレーヤー賞」に輝いた浦項のキム・スンデ、元韓国代表の済州ユナイテッドのユン・ピッカラムなどが中国行きを表明してしまった。
行き先が自国よりもレベルが高いヨーロッパならともかく、格下と見なしてきた中東や中国への移籍は、アジア最強を自認してきた韓国からすると手放しで歓迎できないところがあるようで、韓国のサッカーファンたちの間では、「Kリーグは “セーリング・リーグ”に成り下がった」との嘆きが止まらないが、それも仕方がない。
選手を引き抜きたい側にとっては年俸情報は交渉時の格好の目安。より良い好条件を求める選手が、その誘惑に呼応するのは当然のことなのだ。とあるKリーグのクラブ関係者も言う。
「最近は他国クラブか先に選手エージェントと年俸で合意してしまい、Kリーグのクラブが引き留めるのも難しくなった」
貧弱な年俸情報を公開したことで、逆にスター選手の引き抜きや流出が止まらないKリーグ。 “マネーゲーム”で中国や中東、さらには日本のJリーグにも太刀打ちできない韓国サッカーがこのまま凋落していく可能性は、決してゼロではないだろう。
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