桜木花道は「カン・ベクホ」!? 韓国でもバスケブームを巻き起こした『スラムダンク』のすごさ

2016年04月12日 話題
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1990年代に韓国でバスケットボールのブームを巻き起こした日本のマンガ作品がある。そう、日本が誇るバスケマンガの傑作『スラムダンク』だ。

昨年、韓国では『スラムダンク』の“オリジナル完全版”が発売された。日本で発売されたオリジナル・コミックス版を忠実に再現したものらしい。

というのも、1990年代当時、韓国で発売された韓国語版コミックスは、日本と本の開きが違うため左右が反転されていたそうで、しかも、写植の貼り付けが雑だったり、カットされたシーンがあったりと、何かと不完全だったわけだ。

「スラムダンク」韓国語版

桜木花道、流川楓の韓国名と由来とは

ところで、日本と韓国の『スラムダンク』で大きく違う点がある。それは、登場人物の名前だ。

例えば、主人公の桜木花道は「カン・ベクホ」、流川楓は「ソ・テウン」、キャプテンの赤木剛憲は「チェ・チス」、宮城リョータは「ソン・テソプ」、三井寿は「チョン・デマン」といった具合。ヒロインの赤木晴子は「チェ・ソヨン」だ。

当時の韓国は日本文化に対する規制が厳しく、なるべく韓国式に変えるという方針があったという。

韓国版の名付け親である女性編集長(当時)チャン・ジョンスク氏は、「桜木花道の名前をカン・ベクホにしたのは、学生時代、“ベク・ホギ”という友だちがいたからなんです。すごく格好いい名前だなと思っていたので、個人的に好きな苗字である“カン”と組み合わせて“カン・ベクホ”にしました。そうやって名前をつけていったんですが、あまりにも登場人物が多くて、挙句は卒業アルバムを開いてキャラクターに似合いそうな名前を探しました」と語る。

それでも、同作が持つ面白さは韓国人にも確かに伝わっていたのだろう。オリジナル完全版の宣伝文句には「1970~1980年代生まれにとって“初恋”のような作品」と書かれていた。彼らが10~20代の頃は、それこそ『スラムダンク』に熱中になっていたからだ。

「スラムダンク」韓国語版

プロバスケ誕生にも影響した!?

日本では同作によってバスケ人口が大幅に増えたというが、それは韓国も同じ。

同作を読んでバスケを始めた人は数知れず、当然バスケボールやシューズも爆発的に売れた。

バスケブームにつれ、大学バスケ大会も大盛況。女子中高生たちにとって大学生バスケ選手たちは、まさに“アイドル”だったという。

また、バスケを題材とした連続ドラマも作られ、大ヒットを記録している。

そして、1997年には韓国で男子プロバスケットボールリーグ(KBL)も始まった。これもやはり「スラムダンクブーム」が生んだ結果と言われていたほどだ。

ともかく、『スラムダンク』は「青春スポ根の完成であり、レジェンド」と称されるだけあって、月日が経った今も語り継がれているようだ。「左手は添えるだけ」「バスケがしたいです」など名ゼリフは、今もよく使われたりする。

「スラムダンク」韓国語版

『スラムダンク』の都市伝説

近年は、同作と関わるこんな都市伝説(?)も。

学校の授業中にマンガをこっそり読んでいて教師にバレても、それが『スラムダンク』であれば男性教師は目をつぶってくれるという。「お前らも『スラムダンク』を知っているのか」と驚くその教師の机の上には、『スラムダンク』全巻がそろっているとか。

最近は「改めて読み返してみたら最後の終わり方がちょっと急すぎる」「全体的に見るとちょっと残念な締め方だった」という声もあるが、そんな不満も含めて好きでいるしかない作品だそうだ。

韓国では「周りのみんながカン・ベクホ(桜木花道)は実在する人物と信じ込んでた」ほど、人気を博した『スラムダンク』。今後、同作の人気を超えるバスケマンガは誕生するのだろうか。

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