厚切りジェイソン、パトリック・ハーラン、デーブ・スペクター。最近はテレビで外国人タレントを見ない日はないと言っても過言ではないが、お隣・韓国でも、外国人タレントの活躍がめざましい。
日本はもちろん、中国、アメリカ、ドイツ、オーストラリアなど、様々な国籍のタレントが存在する中、まず紹介したいのはガーナ出身のサム・オキア(Okyere Samuel)だ。
もともとパソコン工学を学ぶために韓国で留学していた彼は、「韓国語が流暢な黒人」というキャラクターを活かし、大学在学中に映画やドラマ、バラエティ番組でエキストラのバイトをやっていた。
ところが、2014年から出演した外国人トークバラエティ番組『非頂上会談』をきっかけにブレイク。自ら「ウィル・スミスに似ている」との冗談を飛ばすほど気さくな性格と、「将来の夢はガーナの大統領」と真剣に語る姿などが視聴者に強い印象を与えたのだ。
ただ、「最初は不快だったが、今はそれが人種差別ではなく、ただ黒人を知らないだけなんだと理解している」とコメント。人種差別に対する韓国人の意識を高めた、先駆者的存在となっている。
中国出身のチャン・ウィアン(張玉安)も、中国人に対する韓国人の偏見をだいぶ薄れさせた人物だ。
中国でアナウンサーを務め、韓国では中国語の講師として活動した彼は、俳優アンディ・ラウに似たイケメンぶりで女性ファンを集めた。
テレビでは中国に対する誇りを表しつつも、中国人のマナーの悪さについては厳しく指摘。韓国地下鉄の中で大きな声で騒いでいた中国人観光客に、メモを渡して注意したこともあるらしい。
外国人タレントといえば“お笑い担当”になることが多いが、米国出身のタイラー・ラズチ(Tyler Josef Rasch)は“エリートぶり”が注目を浴びたケースだ。
米シカゴ大学を卒業し、韓国のソウル大学で修士を取得。シカゴ大学の卒業論文のテーマは「北朝鮮の“苦難の行軍”が北朝鮮の社会・経済体制にどんな影響を及ぼしたのか」だったそうだ。
大学の頃から韓国語を勉強し、今やネイティブも驚くほどの上級韓国語を駆使する。『孟子』などを読むほど東洋文化についても博識で、日本語と中国語は“読み書き”なら出来るらしい。韓国芸能界で「賢すぎて恐ろしい」といわれる唯一の人物かもしれない。
“つまらないことが逆に受ける”外国人タレントもいる。ドイツ出身のダニエル・リンデマン(Daniel Jakob Lindemann)だ。
交換留学生として始めて韓国に訪れ、コンサルティングの仕事をしていた彼は、流暢な韓国語能力を活かして前出の『非頂上会談』に出演。
始終一貫として落ち着いた表情に加え、ドイツ人にも関わらずサッカーやビール、車にもあまり興味がないことが明らかになり、その“つまらなさ”が逆に面白いということで、人気を集めた。
もともとピアノが得意で、今年の10月には自作のピアノ作品集をリリース。タレント活動をしつつ、ピアニストとして演奏活動も行なっている。
異国の地で頑張っている外国人タレントたち。これからテレビ界のグローバル化はますます進むことだろう。
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