韓国最大手IT企業NAVERが運営するウェブトゥーン(縦読みのウェブ漫画)に対する不買運動のきっかけとなった作品、『異世界ポンポン男』(原題)が公募展で落選した。
11月22日、ネイバーウェブトゥーンによると、「2024地上最大公募展」の第2期最終受賞作に『異世界ポンポン男』は含まれなかった。
受賞作の発表と共に、ネイバーウェブトゥーンは別途の公示を通じて「最近の公募展に関連する問題で、読者およびウェブトゥーン創作者の皆様にご不便とご心配をおかけしたことを心よりお詫び申し上げる」と明らかにした。
騒動発生後、公募展に関連して公式謝罪が行われたのはこれが初めてだ。
ネイバーウェブトゥーンが謝罪することになったのは、公募展の第1次審査で『異世界ポンポン男』という作品を通過させたからだ。
どのような作品だろうか。タイトルにつけられている「ポンポン男(ナム)」とは、過去に複数の男性と関係を持った女性と結婚した既婚男性を「洗剤」に例えたネットスラングだ。
「男性経験の多い女性」を最後に「洗った男」を揶揄する意味が込められている。このスラング自体が男女対立を引き起こす表現といえるだろう。
『異世界ポンポン男』は、家庭を捨てて浮気した妻に全財産の半分と養育権を奪われた夫が、亡くなった後に異世界に行くというあらすじ。作中には、浮気をしながらも家庭内暴力として認められるために自傷行為を試みる女性キャラクターや、「現行法は過度に女性に有利だ」といった内容のセリフが登場する。
そんな『異世界ポンポン男』が第1次審査を通過したことで、女性ユーザーを中心にオンラインコミュニティで反発の声が提起され、不買運動に発展した。
韓国のX(旧ツイッター)では10月23日、「ネイバーウェブトゥーン不買」がトレンド入り。オンラインユーザーたちは「ネイバーウェブトゥーン不買」のハッシュタグをつけ、アプリの削除や購読取り消しを勧める文章や、それを実行した証拠画像を上げた。
実際にユーザー数も減少した。調査会社モバイルインデックスによると、ネイバーウェブトゥーンのAndroid基準での日間アクティブユーザー数(DAU)は、これまでの220万~230万人レベルから、不買運動によって200万~210万人レベルへと約10%減少している。
不買運動に発展する前に、ネイバーウェブトゥーン側が対処すべきだったのではないかとの声もあった。しかし『異世界ポンポン男』は公募展に提出されたアマチュア作品に過ぎず、ネイバーウェブトゥーンの作品ではないため、介入することができなかったという。
そして、ようやく今回、第2次審査の結果が発表され、『異世界ポンポン男』は落選となった。ネイバーウェブトゥーン側も初めて頭を下げた。
今回の謝罪と落選で一件落着する可能性もあるが、オンライン上の反応を見る限り、事態の収束は簡単ではなさそうだ。
「なぜ女性嫌悪という言葉を言えないのか。これが謝罪文か?」「『異世界ポンポン男』に限らず、これまで検閲されてこなかった女性嫌悪についてきちんと謝罪して」「不買運動を無視して『影響はない』と広報していたことも忘れていない」「うん、一生不買するからね」といったコメントが並んでいるのだ。
ネイバーウェブトゥーンに対する信頼回復への道のりは、想像以上に険しいのかもしれない。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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