【独自】35兆ウォンを投入した韓国の国家産業団地、地方では「輸出額0ウォン」の“お荷物”に

2025年07月03日 社会 #時事ジャーナル
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韓国は低成長・少子化の沼に陥っている。

【注目】李在明、大統領就任30日…専門家の辛口ジャッジ

人口消滅はすなわち地方消滅を意味し、首都圏と非首都圏の格差はさらに広がった。首都圏への集中と地方の消滅は、頭だけ大きく胴体はぐにゃぐにゃの「怪物のような国」を生み出す恐れがある。

消滅と集中のスピードを緩め、バランスを取り戻すために、全国民の知恵を結集すべき時期だ。これは地域の均衡発展を公約に掲げた李在明(イ・ジェミョン)政権にとっても喫緊の課題である。

前政権の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が推進した新規「国家産業団地」政策も、これと無関係ではない。尹政権は、政府指定としては14年ぶりとなる2023年に新規国家産業団地の候補地15カ所を発表し、大規模な支援を約束した。無分別な開発や自然破壊を防ぐために設定された開発制限区域、いわゆるグリーンベルト(GB)地域の大幅な解除措置も打ち出した。

しかし、着工前に政治ブローカーであるミョン・テギュン氏に関連する土地投機疑惑が浮上。地域経済に活力を吹き込む「呼び水」と期待された経済効果に対しても深刻な問題提起がなされた。国家産業団地が、当初の趣旨である経済発展と地方活性化に本当に合致しているのかという疑問符がつかざるを得ない。

この実態を確認するため、『時事ジャーナル』は経済正義実践市民連合(経実連)と共に、全国35カ所の国家産業団地を徹底調査した。

慶尚南道密陽市の密陽ナノ国家産業団地
(写真=時事ジャーナル)慶尚南道密陽市の密陽ナノ国家産業団地

『時事ジャーナル』の取材結果、懸念は現実となっていた。

総額35兆ウォン(約3兆5000億円)が投入された既存の国家産業団地のうち、未分譲地が630万平方メートルに達することがわかった。

これは全国35カ所の国家産業団地の中で、光州・慶南・慶北・大邱・全北・忠南など11カ所に集中している未分譲面積だ。非首都圏では、サッカー場(7140平方メートル)約882面分の土地が稼働していないことになる。

慶南航空(95%)、密陽ナノ(57%)、長項エコ(52%)など、未分譲率が50%を超える地域の空き地は長期化している。浦項ブルーバレー(37%)、大邱(36%)など、地域経済を牽引すべき一部の国家産業団地の状況も厳しい。

国家産業団地は、国土交通部が指定・開発する国家プロジェクトで、国家基幹産業や先端科学技術産業の育成、後進地域の開発を目的としている。国家産業団地に指定されると、道路や上下水道などインフラが整備され、企業が入居することで雇用が創出される。地方自治体は入居企業から地方税、財産税、法人税などを徴収できる。

これにより自治体の財政自立度が自然と高まるほか、国家産業団地周辺の地価が上昇して不動産価値が上がる場合もある。各自治体の首長が地域経済の流れを変える「切り札」として、国家産業団地の誘致に全力を注ぐ背景がここにある。

では、地域に活力を吹き込むはずの国家産業団地は現場でどう運営されているのか。

『時事ジャーナル』は、経実連都市改革センター、国会国土交通委員会のパク・ヨンガプ「共に民主党」議員室と共に、今年3月から関連資料を確保・分析した。調査対象は、全国の国家産業団地53カ所のうち、産業通商資源部傘下の韓国産業団地公団が管理する35カ所だ。韓国産業団地公団は産業団地の開発・管理などを担当する代表的な機関だ。

本誌は、3カ月にわたる取材を通じて得られた既存の国家産業団地の空き地の実態、経済指標、自治体別の地方法人税状況、新規国家産業団地に関する議論の過程と推進状況、専門家の提言などを、数回に分けて連載報道する予定だ。

8年間の優遇策にも…慶南で一桁台の分譲率

全国17の市・道にある国家産業団地は、▽江原道1カ所 ▽京畿道5カ所 ▽慶尚南道5カ所 ▽慶尚北道3カ所 ▽光州広域市2カ所 ▽大邱広域市1カ所 ▽釜山広域市1カ所 ▽ソウル特別市1カ所 ▽蔚山広域市2カ所 ▽仁川広域市3カ所 ▽全羅南道3カ所 ▽全羅北道4カ所 ▽忠清南道3カ所 ▽忠清北道1カ所に分布している。

(画像=時事ジャーナル)計35カ所ある国家産業団地

全国の国家産業団地に投入された総事業費は約35兆ウォンとされる。2024年度に全北(全羅北道)に編成された国家予算9兆ウォンを考えると、これは全北の4年分の予算に相当する。一部の老朽化した国家産業団地の再生事業など追加費用を含めれば、規模はさらに拡大する。

国家産業団地の経済効果は、稼働状況から推測できる。分析の結果、35カ所の国家産業団地の分譲対象面積2億3237万平方メートルのうち、630万平方メートルが未分譲のままであることがわかった。これはサッカー場約882面分に相当する。

未分譲地域は光州・慶南・慶北・大邱・全北・忠南など11カ所に集中している。これらの地域の分譲対象面積(5347万平方メートル)に対し、平均12%の土地が未分譲状態だ。もちろん、将来の入居希望企業のために一部の敷地を意図的に空けておく場合もある。

しかし、慶南など非首都圏では分譲率が50%にも満たない地域が多数存在する。2017年に事業が始まった慶南航空国家産業団地の場合、109万平方メートルのうち103万平方メートル(95%)が空き地だ。慶南密陽ナノ(57%)、忠南長項エコ(52%)、慶北浦項ブルーバレー(37%)、大邱(36%)も、2009年に事業が開始された後、未だに分譲を完了していない。

このほか、敷地造成段階にある京畿道東豆川国家産業団地の未分譲率は98.9%で最も高い。この地域を含め、未分譲地域の事業期間は計画上2025~26年までとなっているが、低い分譲率などの事情により事業期間が延長されるケースも出ている。

政府や一部の自治体は、国家産業団地内に企業を誘致するため、分譲価格を引き下げたり、長期の分割払いを認めたりするなどの誘致策を講じている。

東豆川市は分譲価格を3.3平方メートルあたり160万ウォン(約16万円)に設定し、企業が一括払いで支払う場合は140万ウォン(約14万円)台で土地を購入できるようにした。しかし、3回にわたる需要調査でも企業の反応は冷たく、結局未分譲の土地を東豆川市がすべて買い取る状況に追い込まれた。これは、市が韓国土地住宅公社(LH)と締結した国家産業団地造成実施協約に明記されている条項だ。

慶南航空国家産業団地の状況も同様だ。慶尚南道は2024年5月、泗川市に開設された宇宙航空庁が航空国家産業団地の活性化に貢献すると期待していた。アメリカのNASAに相当する役割を果たす宇宙航空庁が、研究所や機関、企業を泗川市と晋州市に集める先導役になると考えたからだ。

しかし、最大8年間の法人税などの税制優遇や人材・設備などの補助金といった「アメ政策」も、企業には響いていない様子だ。

首都圏、企業の99%が稼働

では、入居企業は正常に稼働しているのだろうか。今年3月に調査を開始した際、国家産業団地の入居企業数に対する稼働企業数を比較したところ、首都圏と非首都圏の差が際立った。

ソウル九老区にあるソウルデジタル国家産業団地では、1万5264社が入居し、そのうち91%(1万3949社)が稼働している。仁川の朱安・富平国家産業団地は、それぞれ1424社中3社を除く1421社、1848社中8社を除く1840社が稼働しており、いずれも99%を超える稼働率を示した。京畿道にある半月(96%)、始華(98%)、始華MTV(98%)、坡州炭峴(94%)などの稼働状況もほぼ100%に近いと分析された。

一方、湖南圏の国家産業団地の状況は異なった。全北益山にある国家食品クラスター国家産業団地は197社が入居しているが、そのうち稼働中なのは95社のみだ。つまり、約半分の企業しか稼働していないことになる。国家食品クラスター国家産業団地は「世界的な食品産業ハブ」を掲げて出発した。

朴槿恵(パク・クネ)元大統領は2014年11月の起工式に出席し、「国家食品クラスターをオランダのフードバレー、米国のナパバレーに肩を並べる世界的な食品産業ハブに発展させる」と強調した。しかし、その公言は実現しない危機に瀕している。

国家食品クラスターを含め、稼働率が低い場所はすべて非首都圏地域だ。▽慶尚北道浦項市の浦項ブルーバレー(40%)▽忠清南道唐津市の石門(48%)▽忠清南道舒川郡の長項エコ(55%)▽江原道東海市の北坪(60%)などだ。

慶尚南道密陽市の密陽ナノ国家産業団地
(写真=時事ジャーナル)慶尚南道密陽市の密陽ナノ国家産業団地

国家産業団地を指定する際に非首都圏を優先的に考慮する理由は、地域の均衡発展を図るためだ。首都圏に集中する雇用を非首都圏に分散させ、地方消滅を防ぐ狙いがある。しかし、一部地域の稼働状況を見ると、この目的が達成されているのか疑問が残る。

それだけではない。地域の雇用創出と直結する雇用人数においても「首都圏集中」現象が見られた。

全国35カ所の国家産業団地に雇用されている約96万人のうち、50万人がソウル・京畿・仁川など首都圏で働いている。全体の50.7%に当たる。非首都圏に雇用されている人数をすべて合わせても、首都圏には及ばない。35カ所のうち、首都圏にある国家産業団地は8カ所(雇用人数「0人」の東豆川を除く)にすぎない。

つまり、8カ所に全体の50.7%が集中し、残りの非首都圏26カ所に49.3%が分布しているということだ。政府の期待とは異なり、国家産業団地がむしろ首都圏の雇用を増やす役割を果たしたと解釈されている。

国家産業団地ごとの生産額も同様の傾向を示した。2011年から2024年までの14年間で、国家産業団地の累計生産額は計7828兆ウォン(約782兆8000億円)に達した。首都圏の生産額は全体の22.6%(1770兆ウォン)を占めている。

生産額が低い下位5カ所は、▽慶尚北道浦項市の浦項ブルーバレー(777億ウォン)▽江原道東海市の北坪(4870億ウォン)▽慶尚南道密陽市の密陽ナノ(5139億ウォン)▽光州広域市光山区のビッコリ(7163億ウォン)▽忠清南道舒川郡の長項エコ(7694億ウォン)だ。

生産・輸出額でも首都圏集中

このような状況の中、非首都圏の輸出額も低調だった。同期間、江原道北坪国家産業団地の累計輸出額は「0ウォン」と集計された。14年間でまったく輸出がなかったということだ。

北坪国家産業団地は「対ロシア、対北朝鮮、対日本貿易の中心地」を目指して1995年に竣工した。韓国産業団地公団の関係者は2006年、あるメディアのインタビューで「これまで北坪産業団地は東海高速道路の拡張開通で首都圏へのアクセスが大幅に改善され、国際港の東海港が近接しており、地理的にどの地域よりも対ロシア貿易などに最適な条件を備えている」と語っていた。

こうした中、尹錫悦政権は2023年3月、「地域経済の活性化」を掲げ、全国15カ所に国家産業団地を造成すると発表した。京畿道龍仁市を除くすべての地域が非首都圏で、嶺南圏(ヨンナム圏)5カ所、湖南圏(ホナム圏)4カ所、忠清圏(チュンチョン圏)4カ所などだ。

尹政権は、地域経済の活性化を理由に各自治体から候補地の提案を受け、それを基に新規国家産業団地を指定。15カ所のうち、政府に提案書を提出しなかったのは龍仁市のみだった。政府発表後、各新規国家産業団地はそれぞれ関連手続きを進めている。

ハン・サンフン経実連都市改革センター運営委員は、まず「高い空室率などの背景には、計画立案過程で伝統的製造業の衰退や産業構造の変化、企業規模の縮小傾向などに対する理解不足といった間接的な原因の影響もある」としつつも、「しかし、国家産業団地の需要予測が適切に行われなかった点や、交通や人材確保などの面で不利な条件が競争力の不足を招くなど、直接的な原因も作用したと見られる」と評価した。

続けて、「既存の国家産業団地の運営過程で明らかになった空室率や稼働状況などの問題点を解消し、入居企業の実質的な生産活動および地域経済への寄与度を高める現実的な方策を、今からでも検討すべきだ」と述べた。

ソ・ウォンソク中央大学都市計画・不動産学科教授は、「既存の国家産業団地の運営過程における問題は、首都圏の場合は老朽化、非首都圏の場合は企業誘致の有無が核心だ」とし、「特に非首都圏の国家産業団地の場合、『地方にソウル大を10校作る』という話のように、企業が地域に長期滞在できるような住宅や福祉など複合的な政策が伴ってこそ活性化できるだろう」と展望した。

◇国家産業団地とは?

国家基幹産業や先端科学技術産業などを育成したり、後進地域などを開発したりするために指定された区域を指す。産業団地には、国家産業団地、一般産業団地、都市先端産業団地などがあり、それぞれ根拠法令が異なる。国家産業団地は、「産業立地および開発に関する法律(産業立地法)」第6条に基づき、国土交通部が指定・監督する。国家産業団地の管理主体は団地ごとに異なるが、ほとんどは韓国産業団地公団(産団公)と韓国土地住宅公社(LH)が管理している。

(記事提供=時事ジャーナル)

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