「お金が儲かる太陽光発電」計画が頓挫…怒り心頭の韓国・済州島農家の悲哀

2022年06月25日 社会 #市場調査
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「東洋のハワイ」と呼ばれる韓国有数のリゾート地である済州島(チェジュド)。人の流入も多く、住民登録人口は10年前の2010年は57万7187人だったが、2020年12月時点で69万7578人に増加した。

【注目】リゾートなのに住民から苦言…「東洋のハワイ」済州島のイマ

それだけ外部からの人が増えている済州島だが、当然だが古くから済州島で生まれ育った人たちもいる。彼らの多くは、先祖代々続いた農業や漁業を生業にしているケースが主だ。

そんな済州島の農家を巻き込んだ事件が起きた。

それが、2016年4月に済州島自治体が主体となって提案した太陽光発電普及事業基本計画だ。計画当時、「安定した高収益保障」「お金が生まれる農業」「高齢農家への救済」と銘打ち、「島民所得につながる太陽光普及事業計画」として、閉園した柑橘類の農地に太陽光発電施設を設置すれば、20年間一定の収益を補償すると告知。結果として参加申請をする農家も続出し、最終的に60世帯ほどの農家が計画参加を表明した。

しかし、夢の計画はトラブルだらけのずさんなものだった。

最初の計画では発電施設を設置すれば、発電事業開始15年目まで年間3000万ウォン(約300万円)を、それ以降は3000万ウォン以上を貰えるというものだった。

しかし全国的な地価上昇により、農地だった場合は負担しなくてもいい高額な税金を納めなければならないことが判明。3000万ウォンが入ったとしても税金としてだいたい1500万ウォン(約150万円)ほどが持っていかれることが判明したのだ。

また、契約者には設置費として8000万ウォン(約800万円)の負担も強いられることから、実際の利益はかなり下がる。そればかりか、契約によって20年間も土地の売買も不能になってしまう。

もはやマイナス要素のほうが大きいという結果になった。

こうした事実が明らかになるたびに契約農家からはキャンセルが相次ぎ、この度完全に計画が頓挫したことが伝えられた。

太陽光事業に参加した10以上の農家で構成された済州柑橘太陽光土地州協議体は、済州住民自治連帯と共同声明を出し、「高収益を保障し、柑橘系農家を眩惑した後、経済的な苦痛だけを与えた済州島を糾弾する」と明らかにするなど、その怒りは大きい。

これには韓国内部でも「無能で無責任なやつらには責任を取らせなければならない」「高齢者が多いなか、安定を掲げた計画の誘致は悪質だ」など、怒りの声が多く上がっている。

耳障りのいい計画を話して多くの事業者を扇動しながら、蓋をあけてみたらずさんすぎる計画だった。高齢者救済や土地の有効活用を謳うなら、もっと念密な計画を立ててほしいものだが…。

(文=サーチコリアニュース編集部)

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