尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の「12・3非常戒厳事件」を捜査しているチョ・ウンソク内乱特別検事(以下、特検)チームが、キム・ヨンヒョン前国防部長官など中心的な役割を担った軍幹部を追加起訴し、“短期決戦”に乗り出す様相を見せている。
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彼らの拘束期限が満了する前に身柄を確保し、証言の隠滅などの恐れを減らすためとみられる。特検チームは、尹前大統領に対する北朝鮮の挑発を誘導したという外患罪だけでなく、軍や警察の中心人物に対する追加の容疑適用も検討している。
内乱特検チームは、ヨ・インヒョン前国軍防諜司令官とムン・サンホ前情報司令官の追加容疑について軍検察と協議を行った結果、軍検察が彼らを軍事機密漏洩および個人情報保護法違反罪で追加起訴したと6月23日に明かした。
ヨ前司令官は戒厳軍による中央選挙管理委員会への侵入に関連し、尹前大統領の弾劾審判および軍事裁判において「サーバーなどをコピーせよと指示したことはない」と偽証した疑いが持たれている。
ムン前司令官の場合は、不正選挙疑惑の捜査のために非常戒厳当時に設置された合同捜査本部第2捜査団に関連する人的情報を、民間人であるノ・サンウォン前情報司令官に渡した容疑が適用された。
特検チームは報道発表を通じて「軍検察は、ヨ前司令官らの既存の裁判と弁論を併合する一方、追加の拘束令状発付を要請するとともに、これまで提出していた彼らに対する条件付き保釈を促す意見を撤回した」と説明した。
ヨ前司令官とムン前司令官は、すでに内乱重要任務従事などの容疑で軍事裁判所に拘束起訴されており、裁判を受けている。軍検察は彼らの拘束期間満了日が迫ったため、事件関係者との接触禁止などを条件として釈放する「条件付き保釈」を裁判所に要請したことがある。
チョ特検は特検補佐官6人が任命される前(18日)、すでにキム・ヨンヒョン前国防部長官を公務執行妨害などの容疑で追加起訴し、拘束令状の発付を裁判所に請求した。これはキム前長官の1審拘束期間(6カ月)が今月26日に満了する点を考慮した措置だ。
当初、23日にソウル中央地裁・刑事34部(ハン・ソンジン部長判事)の審理で予定されていたキム前長官の拘束可否審理は、キム前長官が裁判忌避申請を提出し出廷しなかったため、25日に延期された。
あわせて特検は、今年1月に高位公職者犯罪捜査処(公捜処)による逮捕を阻止するよう大統領警護処に指示した容疑などで、警察の出頭要請を受けながらもこれに応じなかった尹前大統領に対して、逮捕令状請求の可否についても検討している。
法曹界では、今後特検の主要な捜査対象は「外患罪」になるとの見方が出ている。
尹前大統領に対する外患罪は、検察の捜査では解明されなかった。尹前大統領は、北朝鮮・平壌に無人機を侵入させるなどの手段で北の挑発を誘導し、それを口実に非常戒厳を宣言しようとした疑いを受けている。実際に内乱特検の捜査対象には「平壌に無人機を侵入させ、戦争・武力衝突を誘導した」件も含まれている。
これに関連し、内乱特検には国防専門監査院の監査官3人などが派遣された。監査院の公務員が派遣されるのは異例だと伝えられている。
特検はこのほか、公捜処などの機関とも派遣人員について協議中である。また非常戒厳事態に関連した記録を検討し、関係者に対する追加起訴の可否も見ている。特検は特検法に基づき、尹前大統領らの内乱事件を19日、検察から引き継いだ。
このような中、特検チームは23日から、尹前大統領の内乱首謀・職権乱用による権利行使妨害の容疑に関する裁判においても、公訴維持に乗り出した。パク・オクス特検補はこの日、ソウル中央地裁・刑事合議25部(チ・グィヨン部長判事)の審理で進行された裁判に、特検として派遣された検事らとともに出席した。
パク特検補は法廷で「12・3非常戒厳特別捜査本部などが捜査過程で確保していた証拠資料およびその後特検捜査過程で確保される証拠を基に、国民の関心が集中している本事件の実体的真実を明らかにしていく予定だ」と強調した。
また「現在、公訴提起日から5カ月が経過し、拘束された被告の釈放が目前に迫るなど、法執行の遅れに対する懸念が大きい」として、迅速な裁判進行を要請した。
これに対して尹前大統領側は「内乱特検法自体が違憲だ」と主張し、「検察が起訴した事件に特検が参加するのは問題がある」と批判している。
(記事提供=時事ジャーナル)
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